78 なんとなく ページ34
「虎丸！何度言ったら分かるんだ！」
豪炎寺君の強い口調に思わずポトッとドリンクを落とした。
やはりいつもの豪炎寺君じゃない、焦っているように見えた。
「今日の豪炎寺さん、何だか怖いですね。」
それはベンチにも伝わったようで、春奈ちゃんは何処か声が震えていた。
「そういえばあの2人ってどんな技作ってるの？」
「爆熱ストームとタイガードライブの連携技よ。」
「…へー、その技が組み合わさればきっと相当な即戦力になるよね。」
爆熱スクリューじゃないんだ、という言葉は喉にしまっておき、ドリンクと一緒に流し込んだ。
冬花さんに渡し、グラウンドに入った。
あんなことが二度と起きぬように。
「緑川君、技打つからちょっと手伝ってくれないかな。」
「もちろん、俺もあの技ちゃんと見てみたいからね！」
緑川君からボールを貰う。
真正面を見れば、彼の真っ直ぐな視線が釘付けになった。
夕日が空に溶け出す。
練習の時間はあっという間に過ぎ去り、腹の虫がおさまらない。
彼の一回休憩という言葉に合わせて体育座りで倒れ込む勢いで座った。
「いやー疲れた！でもAさんだいぶ成功するようになったよね。」
「うん、でも偶に失敗しちゃうからな…」
チラッと横を見れば、彼も同じ体勢になり目がバチッと合った。
彼は目を逸らしながら話題をすり替えた。
「ダイヤモンドダストとプロミネンスっていうチーム知ってる？」
「…うん、なんとなく。エイリア学園の…」
「そうだよ。
あの2チームは俺の＿ジェミニストームとは比べ物にならないくらいの実力だったんだよ。」
彼の寂しそうに沈んだまつ毛を見逃さずに直視した。
後ろで高く結ばれたポニーテールが頭をキョトンと動かした事で下に垂れたのを見逃さなかった。
「なのにイプシロンと同じように代表候補にすら呼ばれなかった。
特にガゼルとバーンっていう選手は群を抜いて強かったんだよ。」
エイリアネームだけどねと彼は付け足した。
「…緑川君はどうしてか知らないの？」
「うん。知れるなら俺も知りたいよ。
いつかあの2人とちゃんと戦いたい。
俺がどれだけ強くなったかを見せたいんだ。」
目のハイライトが大きくなったように感じた。
見開いた瞳孔は決意をより固めていた。
何も言わずに立ち上がった私は手を差し出した。
その手を彼は見逃さず、ガッチリと掴んで立ち上がった。
どうして今この話をしたのと疑問を投げると、彼はなんとなく、とケロッと軽く笑って投げ返してきた。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
