76 故人からの激励 ページ32
「必ずこれからは練習メニューを誰かに伝えるように。円堂でも、勿論私でも。
クールダウンも欠かさず行いなさい。」
厳しい表情に反して監督の声色と内容はあまりにも優しかった。
当たり前のことだがその当たり前を飛ばした結果がこの有り様だ。
「はい、気を付けます。」
そう力強く監督に答えては食堂を一目散に出て行って靴にゆっくり足を通した。
グラウンドに出ると休憩を挟んでおり、ガッと汗をタオルで拭いていた。
円堂君は1枚の紙をギュと持っており、その周りをチームメイトが囲んでいた。
「あ、Aちゃん。」
「吹雪君、今何を…？」
「キャプテンのおじいさんから手紙が届いたんだよ。」
「そ、うなんだ。」
みんなが興味を示す理由が全く分からない。
身内から連絡が来るのが普通じゃないのか。
私の薄すぎるリアクションに
吹雪君はあ、そっか…と1人で何かを結論付けた。
「キャプテンのおじいさん、大介さんって言うんだけどね。
亡くなってると思われてたけど、手紙がキャプテンに届いたんだ。」
スッと背筋が寒気を認知した。
躊躇いも無くスムーズに話しだした吹雪くんにも驚く。
こ、故人から連絡…？
みんなが顔をしかめて手紙を見つめる気持ちが今になって分かった。
「それは無いです！」
立向居君の声に現実に引き戻される。
両手に拳を作り、声を張り上げる姿には絶対的な自信を感じた。
「俺、ノートは何回も見せてもらってますから！
これは絶対、円堂さんのおじいさんです！」
ノートという単語に頭を抱える。言葉が出てしまっていたようで、吹雪君は必殺技ノートの事とコソコソと教えてくれた。
…おじいさんのノートを立向居君が見て特訓してたって事…か。
そう言葉と言葉を結びつければ何となく話の内容が掴めてきた。
2人は会話に熱を飛び出して段々言葉が激しくなる。何故だか他の人も加わり出した事で、円堂君は苦い顔を見せた。
「それより特訓だ。
今は韓国戦の事を考えようぜ。」
きっと円堂君も複雑な気持ちを抱えているはずなのに、1番抱えているのに。
それでも仲間に激励のメッセージを送り先頭を走る姿に自分との差を感じる。
冬花さんが眉を下げてあまりにも心配そうな表情を見せた。
秋ちゃんとの一件でまだ会話をしていない。
何処からか気まずさを感じ、見て見ぬふりをして円堂君の後を追った。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
