75 医者の息子 ページ31
早朝には起床をし、ワックスでヘアセットをしていることが容易に想像できる豪炎寺君がバッと視界に入る。切れ長で真っ黒な瞳はハイライトがよく映えている。目元が本当にそっくり。
入院中お父さんには大変お世話になったからには感謝を伝えないと。
「豪炎寺君。
あのさ、お父さんって医者だった…り？」
目を細めてこちらを見てくれていたにも関わらず、お父さんという言葉に彼は強く反応した。
少しだけ彼の眉間にシワが寄り、つい段々と声が小さくなってしまう。
「…あぁ。そうだが…」
「びょ、病院でお世話になったんだよね。
だから…えっと…よろしくお伝え下さい？」
「分かった。」
そう彼は少しの取り乱しを見せぬように走り去ってしまった。
…いつもの豪炎寺君じゃない、何かあったのかもしれない。
いや、2人は犬猿の仲なのかもしれない。
以前学校でこのくらいの年は反抗期になりやすいと学んだ。
何だか申し訳ない事をしてしまったかもしれない。
まだ太陽が登りきっていない朝、豪炎寺君に親の話をしてはいけないと頭に強く刻んだ。
突然右側から光が当たらなくなる、高い影で覆われた。
「A。」
「か、監督。」
「食堂に来なさい、話がある。」
そう監督は言うと、腕を後ろに組んでゆっくり向きを変えては歩き始めた。付いてこいということか。
今すぐ技を見て貰いたい気持ちを抑え込んでゆっくり監督に付いて行った。
チームメイトが居ない食堂に来るのは以前私が冬花さんに助けて貰った以来だ。
あの時は本当に閑散としていた。
今もそんな雰囲気を抱えている。にも関わらず何故だかスタスタと足が進んだ。
そもそも私自身そこまで体が弱くない。貧血気味になったり、入院したりと昔じゃ考えられない。環境が変わるとここまで胸が圧迫されるような苦しさが＿
「A。」
「ㇵ、はい！」
監督の深いため息にビクッと体が跳ねた。
心臓が内側から力強く叩いてくる。
「奇跡的に早期に完治したと連絡があった。
しかし今回の怪我で癖が付いているかもしれない。捻挫をしていたと。」
「え、捻挫！？」
思わず口が走り顔を前に出すと監督が深刻そうな顔を辞め、頬を下げて口を固く結ぶ。真顔。
監督の無言の肯定をしんみりと受け止めていると、監督は私の発言を無かったことにして続けた。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
