71 友達からのリスタート ページ27
二人の体重が上乗せされドンと倒れ込む。
リカさんの手が下敷きになったからか頭に衝撃は走らない。財前さんは私の腰回りをギュッと包み込み、その上をリカさんが覆った。リカさんがポンポンと撫でるように私の頭に触れた。
2人は私を倒れさせてはすぐに慰めの言葉を投げかけた。涙腺が破裂するかのようにその言葉にただボロボロと泣き崩すしかなかった、第3者からの視線なんて関係なかった。
2人は私と目を合わせて真っ直ぐ私の瞳を真剣に見つめていた。
みんなからの期待を裏返して裏返して裏返しては無意識に沢山の罪を背負っていた。
心の何処かではきっと期待に応えようとしてたのに、心の大部分で勝手に罪悪感に置き換えていた。
「ど、どうせ無理ッて、みんな期待し過ぎなんだッて…！」
空に溶けようとした情けない罪人の発言を汲み取るように、より力が加えられた。
心の箱に少しだけ重みが増した。それは軽やかで心地よい重みで、何故だか体が軽くなった。
もう爽やかな青色とは一変、オレンジ色とうっすら黒色が混ざり合う午後5時。
財前さんにハンカチを差し出されながら、リカさんに背中を押してもらいながら。ベンチに座り込んだ。
「ありがとう。迷惑かけてご＿」
「はいストーーップ！これ以上謝るの禁止！」
「全くAったら〜急だったからホンマビックリしたで！」
得意げにヘヘッと笑ったリカさんにちょっとリカと財前さんがかなり強めに頭を叩く。ただ財前さんもその愛らしい冗談に笑みを隠しきれないようだった。
「…じゃあA、寂しいけど私達合宿所に用があるんだ。」
「うん？もうこんな時間や、あかん！」
「め、迷惑かけてご＿」
「おーいA〜」
私の口癖にまたもダメ出しされる。
それが何だか楽しくって。口から、顔から。溢れ出る笑みが幸せでしかない。
「と、塔子、リカ。またね！」
慣れない名前呼びに2人はひどく歓喜したようで公共の場関係なしに大声で感嘆の声を漏らす。
競い合い、成長できる。
心の箱は何処かでそんな良い関係を探していた。
見つかったと高揚してはそれは別物であると落胆した。それを何度繰り返したことか。
人生で初めて出来た「友達」だった。
音も立てずに私の背を優しく押した暖かく朗らかな風は、リスタートを告げているようだった。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
