66 始動、危険信号 ページ22
「Aーーー！迎えに来たでー！」
「ちょ、ちょっとリカ！ここ病院！」
昨日の虹が晴天を呼び起こしたおかげで今日は雲が殆ど見当たらない。
ボーっと空を見ていた所にドタドタという足音がしてビクッと体が跳ね上がる。
途中看護師さんの注意する声が聞こえる。
少し身構えるとガラッとドアが開いた。
どこか懐かしい姿を目にした。
「リ、リカさん。」
「私も居るよA！」
「…2人共お見舞いなんてありがとう。
でももう練習復帰できるから。心配しないで。」
また嘘を付く。
この嘘に縛られていく苦しさを何度も味わっているのに。
そうでもしないとこの場の雰囲気が悪くなる、それだけは避けないといけない。
「良かった〜Aが怪我したって聞いて居ても立っても居られなくて…」
「お見舞いもそうなんやけどな〜
今めっちゃオモロいこと起きんねん！
はよ行くでー！」
ぇ、え？と口の端から流れる言葉を掬おうとしても疑問は残るばかり。
行くってどこに…？
頭の中でグルグルと候補を洗い出す、一つしかなかった。
「も、もしかして合宿所？
でも私まだ足ちゃんと治っ＿＿」
「ごめんなA、今日だけ付き合ってあげて。」
かなり強制的にこっちこっちと病室から連れ出された。
一応念の為豪炎寺先生に軽い許可を頂き、ジャージに着替えた。
階段を下る際に手すり側を歩かせてくれた所に些細な優しさを感じた。
やっとの事で1階へと来た。
あと一歩踏み出せば外なのに、前を向けば外なのに。立ちすくみながら俯いてしまう。
「A、頑張ろう。」
財前さんの言葉に前を見た。
背中に何かが当たる。リカさんの手だ。
「あ、円堂く＿」
予想外の人物。
円堂君に話し掛けようとすると、財前さんに口を抑えられた。
今は気づかれちゃ駄目なんだよと言われ、ますます頭が1杯になった。
頭が真っ白だ。これで合宿所の候補は無くなる。
どこに行くのかまるで検討に付かなくなった。
「よし、冬花！作戦実行や！」
「ぇ…ふ、冬花さん！？」
リカさんの一言でホイッスルが鳴る。
冬花さんが相槌を取ると、逆方向へ突然走り出した、イナズマジャパンのキャプテンと。
私は今、とんでもない光景を見ているかも知れない。
冬花さんは円堂君の手を優しく包み込んでどこかへ向かった。
脳内で危険信号が鳴り出す、赤色で点灯し始めた。
リカさんに早く来いと言われたが、その光景に私は顔に熱が集まるのを感じてまた動けなくなってしまった。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
