65 失う前者、得る後者 ページ21
「…なぜ＿＿」
「やっぱり、私が選ばれたのが間違いだったんだよ。選考試合の時優れた選手が沢山居たのに、今日の相手チームにだっていっぱい居た、
何で、私なの。」
心の叫び。
ずっと思っていたことをやっと吐き出せた。
心の何処かでずっと思っていた。
少し上ずった声が病室に響く。涙は出ない。
技一つない私が、日本でたった１人選ばれた女子だなんていつ聞いても酷い話だ。
何で私なの。この一言でしかこの思いはどうしても表現できない。
私は、日本の恥だ。
「帝国の佐久間君、雷門の染岡君。
ほら、日本の宝がこんなに居たよ。あの日あんなに居たのに。」
鬼道君が選抜したわけではないのに。
まるで彼が悪いかのように言葉を繋げた。
彼もきっとどこかで私と同じようなことを考えていただろう。頭の切れる彼ならなおさら。
こんな単純なこと分かってた。
分かってたのにその事実を避けて代表として戦って。選ばれた人の気持ち、ちゃんと考えてなかった。
マックスだって、下鶴君だって。
あんなに世界を夢に見ていた人が居たのに。
私に資格なんてない。
鬼道君は私の顔を見てどこかを見つめていた。
彼の瞳の中をじっと、ゴーグル越しに見た。
「そんな事、無いんじゃないか。」
どれだけイナズマジャパンには優しい人が多いの。基山君にも似たような事を言われた、今と全く同じやり取り。全く進んでいないのだとしみじみ感じる。
「…では俺はここら辺で失礼する。」
そう言い残して彼は立ち上がった。
どういう意味。そう口を開こうとした時には彼はもうドアの後ろに立っていた。
「お大事に。」
ガシャンとゆっくりドアを閉められた。
こちらを向いて一礼。最後まで礼儀正しく、仲間思いな人。
なんだかスッキリした。重りが外れたような気がする。
それが完全なサッカーへの諦めなのか、サッカーへの小さな悩みだったのかは自分でも分からない。
前者なら。
どれだけ楽になれるのかは計り知れないほどだった。
雨音が止んで空を見る。
土砂降りの灰色は青色をさらけ出し、七色の虹を見つけていた。
1年前の君へ
×ッカー×いですか。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
