永劫回帰【イナイレ】 (ページ4)

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疎外感を胸に2 ページ4

初めて顔を合わせた時は当に礼儀正しい人。
私が何を言っても彼は優しく微笑んでくれていた。

丸みを帯びた瞼と私の話に興味があると言うようにキラキラと瞳孔を輝かせていた。

雷門中に来てよかった、そう思っていた。
かと思えばドンドン本性をさらけ出した。

だんだんと口調が粗くなり、余計な一言を重ねては重ねていた。ちょっとは言葉に気を使わないのか。
…私は女子なのに。
特に私がやっとのことで完成させた技のネーミングセンスには言葉が出なかった。
彼に聞いた私も悪いのだが。

「ん～～、結果勝てたし良いんじゃないの？」
「…なんで狩屋は譲ったの？
折角みんなと旅できたのに。」
「まぁまぁ、こんなとこで話してねぇで早く行こうぜ！」

そう言われてかなり強引に立たされた。
手を掴まれた。こんな恥ずかしい事も普通にできる所も変だ。
突然ドッと鳴り響く心臓に驚き、彼の手を振り払った。
やっぱり狩屋は変だ。
純粋に仲間の勝利を祝おうとして、でも先輩を本当は慕っていて。
ふざけているようで誰よりも仲間を大事にしている。
早く早くと走り出す彼を見て後に続く。

「なんていうかさ〜Aさん。」
「な、何？」
「仲間を信頼するってことも大丈夫だぜ。」

また目つきが鋭くなる、あの上手な愛想笑いでもう猫被りをすることも忘れたのか。
走りながら、オマケにそんな照れ臭いこと言われたら余計に何を言えば良いか分からない。
まだ心臓は鳴り止まない。やっぱりおかしい。

みんなの顔が見えてきた。
遅いと言わんばかりにこちらを見ていた。
狩屋がニヤッと笑って私の背中を叩いた。

「おーい、天馬くーん。」

私が見慣れた姿で松風に声を掛けた。
ほらAさんも！
ほ、ほらって何？
名前だよ名前、天馬。
え、えぇ…何で…
キャプテンを信頼しねぇでどうするんだよ。

彼の不自然で愛想を尽かした耳打ちにどうしたどうしたとざわつく。

「Aー？どうしたの？」

もう一度彼は背中を押した。
さっきよりずっと強く、グッと。

彼が先程掴んでくれた右手を大きく上げる。
「て…天馬！凄かったね。」

天馬の大きな笑みを見た。
狩屋が私を見てクスクスと笑った。
口角を大きく、つり上がった目で。
…次は私のこともそうやって名前で呼んでよ。

何故かまだ心臓がバクバクホイッスルのように鳴り響く。きっとみんなに見られていた緊張から、きっとそう。

本当にこの人は気まぐれで変な人だ。