永劫回帰【イナイレ】 (ページ2)

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不幸の後に幸福を2 ページ2

放課後部活が終わって、校門で風丸君を待った。

どうやら部活中にサッカー部は帰って来たらしい。
…少しは、元気になったかな。

友達同士で遊びながら帰る人。
男女で互いに言葉を探し、顔を赤らめながら帰る人。
1人で速歩きで帰る人。
私は今日、どのやり方も試さない。

途中でクラスメイトに
なんだデートか？とか誰待ってるんだ？と無駄口を叩かれたが、軽く受け流した。

完全下校時刻が刻々と近づく。
忘れられているのかと心配していると、軽やかな足音が聞こえてくる。振り向くとまつ毛がなびくオレンジ色とバチッと目が合った。
少し息が切れていて、うっすらと汗が滲んでいる。

「ご、ごめんAさん、待った？」
「ううん、私もさっき部活終わったから。」
「…そっか。
でもAさんの家と俺の家って反対だよな？
ど、どうする？」
「私が風丸君の家まで行くよ。私が誘ったからね。」

彼はそっか。と答えた。
常に平常心で音を重ねた。
風丸君は部活終わりで落ち着かないのか、普段あまり関わりのない私に緊張しているのか。
じゃあ帰ろっかと言うと、風丸君はあ、あぁとしどろもどろに返した。

私が道路側で風丸君と歩く。
彼は歩幅を私に合わせてくれている。
運転の荒いワゴン車が通った時は轢かれるかと思い、少し焦った。

暫く沈黙が続いたが、あまり気まずいだとか、何か話さないとだとかは考えなかった。

タイミングを見計らう。まだ＿

…悩みがあるならここで洗いざらい吐き出してもらわないと困る。
そう思い、やっと実行に移した。
「風丸君、学校辛くない？」
「ん？あぁ、今日のことか。
全然気にしてないよ、今日はたまたま円堂達が居なかっただけだし、なんか変なところ見せちゃったな。」

彼はゆっくり話そうとしていたが、予想外のことを聞かれて驚いたのか。
自虐気味に話した。
その自虐に反論しようとする。
そんな事ないよ、そんな言葉を飲み込んでから。

「そっか、でも困ったら私に相談してね。」
「…ありがとう、Aさん。気が楽になったよ。」

結局その後、本心を打ち明けられずに彼と別れた。
次は俺が誘うよ。そう言ってもらえて思わず頬が緩む。本当の目的を達成できずに。
カバンを持つ手に力が入る。

疲弊した足が痛い、歩くので精一杯。
風丸君がサッカー部に入る前のことを思い出す。
風丸君の後ろをずっと走った。
それは間違いなく憧れだった。

風丸君、サッカーなんて良いこと無いよ。
早く陸上部に戻ってきてよ。