不幸の後に幸福を【風丸一郎太】 ページ1
「おいアイツだぜ、風丸。」
「良いよなーダークなんちゃらって奴ら。
俺もあんな事すりゃあ出れんのかなー。」
「てかあの服装今でも笑えるよな。
あぁいうのでもサッカーってできるんだな。」
「よく学校来れるよな、俺なら家に籠もってるわ。」
以前揉めていたエイリア学園の中学校破壊事件。
まだ時間が経っていない今は当然全方位からそのことに関する声が聞こえてくる。
風丸君はその事件に関与してしまっていた。
私達の学校を無作為に破壊され、隣町の学校も、他の学校も。
間接的とは言え、活動を助けてしまった風丸君達に牙が向くのは当然かもしれない。
学校が再建されてから聞こえてくるのはそんなガヤばかりだった。
それも風丸君達に聞こえるくらいのボリューム。
いつもは雷門サッカー部がいるからみんな気を遣ってるけど、今日は感謝状がとかなんとかで欠席だ。
雷門イレブンから話を聞くに、風丸君達ダークエンペラーズイレブンは警察やマスメディアの取り調べで本当に大変だったらしい。
今の彼に、休める場所は無い。
風丸君は机に伏せている。
聞こえていないのか、聞こえていないフリなのか。
チャイムが学校中に鳴り響く。
日直である風丸君は先生に促されて前に立った。
円堂君がいない、きっとどんな人でも今日が日直である彼を可哀想と嘆くだろう。
「これから朝の会を…」
前の人も隣の人も後ろの人も。
みんなクスクスと笑っている。
自分でも怒っている事が分かった、無意識に持っているシャーペンに力を込める。
それでも私は何もできず、椅子に座っているだけだった。
確かに風丸君はやっては行けないことをしてしまったけれど、今は改心してちゃんと生活してるじゃないか。
彼を守っていた壁が突如として破れ、無くなり、どうぞ傷つけて下さいと風丸君が立っている。
励まして、助けてあげないと。
朝の会が終わって風丸君の席に一直線で向かった。
長い下まつげと大きな瞳。
太陽に水色の髪の毛が照らされていた。
言葉が流れてきた。
もう頭の中で言うことは朝の会中ずっと考えていた。
「風丸君、今日一緒に帰ろうよ。」
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月4日 22時
