残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ7)

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その後も有名選手が体育館に入ってきて話し声が聞こえるようになった。

あの人は雷門の風丸君…
あの人は帝国の佐久間君…
あの人は…っと…あ、木戸川清修の三つ子の人…

一部見慣れない人も居るが、殆どの人がテレビや雑誌で見たことのある人。気を失いそうで、突然貧血になったかのようにクラクラする。
やっぱりこのメンバー…間違いない。
「サッカー関連だ。」

私は何かを悟った後、あまりにも情けなく隅っこでブルブル震えている。
全員が初対面であり、先程話した人は満面の笑みで他の人と会話を弾ませている。
私と話している時はどこか気を遣ったような言葉遣いだったが、元チームメイトが集まると語尾を崩して、花が咲いたようにニコニコと笑いを転がす。
それに何故か女子がいない。
変に腹痛が始まり、尿意を誘われた。
…いや、外に誰か居る＿

「君はなんて言うんだ？」

行場のない手を小さくアワアワと振り回していれば、ハッキリとした声が聞こえた。180°体を動かすと、鮮やかなオレンジ色のバンダナが見えた。
彼の声に引かれ何人かは私を見つめていたが、私は彼の目しか見ることができなかった。
いや。目が、離せない。
これがカリスマ性というものなのか。

円堂君だ。
部員が足りない弱小サッカー部を引っ張り、全国1位に輝き、エイリアの騒動を鎮めた貢献者。
言葉に表すだけでは、彼の偉業は絶対に伝えきれない。

彼からは明らかに他の人と違うものを感じ取った。

私が中学校にいるとき、円堂君のような影響力のある人に話しかけられることが苦手だった。
周りの視線だけが、ただただ怖かった。
そのような人は口を開くだけで人の目を集め、時には人を傷つけてしまう可能性のある、間違いなく一番怖い人だった。

でも明らかに何かが違う。
苦手なタイプなのに、全然怖くない。
彼と目があった時だけ、不安を感じなかった。
周りの選手たちの視線は感じるのに。
テレビで他の選手より多く見ていたからか、彼の丸々とした目に安心するのか。

「AAです。
　始めまして円堂君。」