残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ35)

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33　ビッグウェイブス戦1 ページ35

[ビッグウェイブス戦]

「「さぁ、キックオフ！」」
まずはどこまで私達の力が通じるか…開始早々鬼道君が囲まれる。
いや、その分周りが手薄になるからパスを上手く出せれば…しかし瞬時にパスコースを完全に塞がれる。

「ボックスロックディフェンス」
一度入ると逃げ出せない箱…これが未知の戦術か。
鍵が掛けられていて閉じ込められている。いきなりマズいとふと監督の方を見るが、全く動揺の色を見せない。…攻略法が頭にあるのかもしれない。
いや、なおさら私達に共有しない理由がない。

実力者である鬼道君が苦戦を強いられてみんなが酷く動揺する。その証拠として綱海先輩と土方君が強く衝突してしまっている。2日間の練習禁止が響いている。
相手の鋭利なシュートに円堂君の正義の鉄拳は敗れる、先制点はオーストラリア代表。
これが世界か。
タクティクスが破れず、呆気なくゴールを決められてしまった。その事実だけがポツンと残り、顔が曇る。

「凄いな！
こんな奴らとやれるなんて！燃えてきた！」
円堂君の言葉を聞きつけて彼の方を向く。
焦りの色が見えない、楽しんでいる。
…いや、駄目だ。私はまだ試合に出ていない。
まだ諦めるのは早い。

どうやらあのタクティクスはあらゆる方向に動ける、上を狙ったがそれも読まれていた。4人が固まらないようにマークをし続ける？
…いや、攻撃力が間違いなく削がれる。
その分一人の負担が重くなる。
点を取られた私達にとってデメリットが多すぎる。
1点差でもこちらが一方的に攻められている。
あのタクティクスを止めなければ勝機が見えない。

すると監督は一歩一歩とフィールドに近づく。
ベンチから疑問の声が上がるが、それを跳ね返すように声を荒げた。
「＿まだ気づかないのか。
箱の鍵は、お前たちの中にある。」

中？中って＿？

すると鬼道君は何かに気づいたように相手の攻撃を交わし始めた。彼は相手の隙を見つけてボールを進めた。
うーん、うー＿＿＿ぁ、そっか、閉じ込められていた環境が練習だったのか！
ボックスロックディフェンスと個室での2日間は一致しているような物で。じ、じゃあ監督はやっぱりこの事を分かって…

各々タクティクスを破り始めた事で勢いがつき始める。
大丈夫、戦える。そう確信した。
「お前たち、準備しておけ。」
…？確かに、いや、油断は禁物だ。
誰かが思わず怪我するかもしれない。

監督の言葉に、しっかりと返事をした。
出番が、来るように。