残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ4)

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2　眩しいチャンスページ4

彼らが、彼女らが戦っていた間、私は何をしていたか。もう思い出すことができないほど記憶にモヤがかかる。毎日飽きるほど宇宙人という言葉を聞くのが苦しかった。聞く度に、自分の無力さが浮き彫りになっていた。
なぜ、私が雷門なんかに呼び出されるんだ。
なぜ、私なんだ。

昔の事を淡々と唸り言葉を繋げるのを辞めた私を見かねて響木さんは続けた。

「お前の力が必要だ。
サッカーをする気があるなら雷門中に来てくれ。」

私が口を開いて決意を話そうとした瞬間、電話が切れてしまった。

「A、どんな話をしていたの？」
お母さんの問いが聞こえていないと言うようにうんと返した。
もう一度外を見る。
まだ大した時間は経っていないのに、先程よりももっと高く太陽が上って見えた。
眩しい、ただそれだけだった。

お父さんが毎朝取っていた新聞を部屋から無断で取り出した。
大きく、人目でわかるように書かれた「中学校破壊事件」。
やはりあの騒動は政府に大きな打撃を与えていた。
そもそも中学生に日本の未来を任せるなだとか、サッカーで学校破壊など有り得ないなど様々な意見が飛び交ってとにかく疲れが溜まったのを今も鮮明に覚えている。

少なくとも人々の財前内閣への信頼は大きく下がった騒動だったことは間違いない。

確かにその意見は間違いなく正しいし、私も今までずっと納得していた。
だって全員が10代前半なのだから。私と同じ、中学生なのだから。

でも今の電話を貰って、雷門の事を考え直した。
自分が正しいと思っていたことが、こんな簡単に覆るなんて私も到底考えていなかった。

政府はエイリア学園に打ち勝てるのは雷門中だけ。そう考えたのではないか。

サッカーボールを持ってトンと頭に打ち付ける。
今までのサッカーの思い出が脳を流れた。
辛いことばかりだった。
でも、今しかチャンスは無いんじゃないか。

もう一度だけ、サッカーができるなら＿＿
「お母さん、私行くよ。」

＿＿＿
1年前の君へ
×ッ×ーを×め×由××え×くだ×い×