残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ3)

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1　残念至極ページ3

けたたましく鳴り響いた目覚まし時計を叩き、ゆっくり起き上がる。

いつもと変わらない部屋、参考書と筆記用具が散らばっていた。この光景は、昨日も一昨日も見た。
昨日は1日中空は灰色の曇天だったのに、今日は日光が部屋に入り込んでくるほどの快晴。
私とは対称的に、天気はコロコロと変わっていた。

筋肉痛で重苦しい足を使いながらのそのそと拾い上げていると、突然エプロン姿の母が焦っているような、ただ何故か笑みを浮かべて部屋に駆け込んで来た。

「電話、電話！
A、雷門の監督ですって！」

「…え？雷門！？今、雷門って！」
思わず筆記用具を落とした。シャーペンと定規が筆箱からコロコロと崩れ落ちた。
雷門中は3ヶ月ほど前まで宇宙人のことで揉めていたはず…何かあったのかもしれない。
「まさか、また宇宙人が…」いや、そもそもなぜ私に？

驚きのあまり、お母さんから奪うようにバッと携帯電話を受け取った。いつもより携帯電話は重みを感じた。

「…変わりました、Aです。」
「あぁ、響木だ。突然だが、後日雷門中へ来てくれないか。」

「雷門中…？」
響木さんの以下にも急いでいると言わんばかりの言葉に肩を落とす。低く探るような声と雷門というワードにドキッと心臓が跳ねる。
お母さんがこちらをまじまじと視線をこちらに向ける。

なぜ雷門なんて…
サッカー関係？でも部活動には入ってない。
いや、そもそもどうして私のことを知っているんだ。雷門となんてまるで接点が無い。

ふと足元に何かが当たる。ズカズカと母親が入って来たからか、こちらの気持ちも知らずに転がる。見ないでも分かった。
昨日、一人で蹴っていたサッカーボールがコロコロとつま先に触れた。
誰が見てもボロボロで、布は剥がれている。
昔の姿とは変わり果てていた。

そして。
今この時、日本で過ごしている人に知らない人はほとんど居ないと言えるほどの騒動が数ヶ月前に起きていた。
エイリア石、中学校破壊、吉良財閥…
関連する単語一つ発せば反応するものが多くいるし、私もその1人だ。
テレビなどのマスメディアを中心に日本各地で混乱に陥っていた。私の学校も壊されないかとソワソワしていた。

そんな中でも立ち上がったのは雷門中学校だった。
私と年が変わらず、厳しい戦いを続けていた彼らは日本中、世界中を救った英雄となっていた。

私にその学校に立ち入る覚悟と権利があるのか。
どこからかそんな問いが聞こえた。