愛し子の笑顔と少女の微笑み ページ8
「だから…泣きたい時は泣いて」
菫さんの言葉はじわじわと私の心に沁み渡る。目を丸くした私がおかしかったのか、菫さんはクスッと笑みを零す
「そんな
「そうかしら?」
「うん。なんていうか…綺麗さよりも可愛さが際立つわね」
「私を可愛いって言ってくれた人はあなたで二人目よ」
「うー…先越されたー!因みに、一人目は?」
「シリル」
「…え、メリオダスの弟の!?」
「あら…菫さん、シリルのことを知っているの?」
三拍置いて驚く菫さんに問うと、彼女はコクンと頷く
「私が聖騎士側にいた時、ギルサンダーに紹介されたの。確か…シリルとエヴェリーナがいたはず」
菫さんの口から
「エヴェリーナってユーリに似てたんだけど…ユーリの親戚?ほら、ユーリも旧精霊王家の血を引いてるんでしょ?」
「ええ。親戚、かもしれないわね」
流石に娘とは言えないわよね。色々厄介なことになるもの
リーナは10歳で成長が止まっているから私が6歳の時に産んだことになる。それは流石にない
脳内でトンデモナイことを考えていると、メリオダス様に呼ばれた菫さんが慌ててベッドから腰を上げる
「ユーリ」
扉の前で立ち止まり、私を呼んだ菫さんは少し恥ずかしそうに顔を赤らめている
「どうしたの?」
「どんなユーリでも、私は大好きだから!」
じゃあね、と慌てて部屋を出て行った菫さんにポカンとなる私
「あんな良い子を愛し子に選んだ過去の私はぶん殴りたいわ」
はぁ、と深いため息をついて呟いたその言葉を拾った者は誰一人としていなかった
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年6月13日 18時