落ち込む愛し子と少女の訂正 ページ5
「そっか…ごめんね、無理言って」
しゅん、と落ち込みながらも無理矢理作った歪な笑みを浮かべる菫さんに慌てて先程の言葉の意味を訂正する
「違うの。菫さんが嫌だとか信用できないとか…そういう意味じゃないのよ」
「じゃあ…どうして?」
断られた理由が思いつかなかったのか、菫さんは怪訝そうに眉を顰める
「私は、エリザベス王女を殺そうとしたことで〈七つの大罪〉に敵視されているわ。それが事実であろうとなかろうと、彼らにはそれが真実なの。それに、菫さんも見たのでしょう?エリザベス王女を殺そうとした私の姿を」
「…ユーリ、だったわ」
「なら、自分の保身の為に私が嘘をついているとは思わないの?」
ベッドに腰掛けた私の問いかけに間髪入れず首を横に振る菫さんに少しだけ驚く
「私は…今のユーリをよく知らないから偉そうに言える立場じゃないし、全然的外れかもしれないけど…でも、ユーリは我が身可愛さにあんな嘘をつくような人じゃない。それに…記憶が戻る前のユーリならアレだけど、今のユーリが本気でエリーを殺すつもりならあんな分かりやすい殺し方はしないと思う」
「菫さん……」
正体の知れない私をここまで信用してくれる菫さんに驚きを隠せない。よく分からない女に危ういほどの信用を見せる菫さんの純粋さを褒めるべきか、菫さんに信用されすぎる言動をしてしまった己の甘さを責めるべきか、悩むところだ
「あのね、ユーリ。私を護ってくれたのは、ユーリが初めてなの。だから…そんな人が私欲で人を殺すようなことをするかな、って……」
「…私は、菫さんが思うような女じゃないわ。利用価値があれば利用するし、必要性があるなら家族だって殺す」
「ユーリになら利用されてもいいわ」
「そんな簡単に利用されてもいい、なんて言っちゃダメよ」
「でも……」
「私の味方になったせいであなたが傷つく必要なんてないのよ」
もう少し考えなさい、と菫さんの頭を抱き寄せて告げると彼女は小さく頷いた
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年6月13日 18時