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宝石から守護石へ ページ9

「うーん……」

 宝石をゲットした翌日、私は購入した宝石を前に唸っていた。

「姫様、ルースだけお買い上げになりましたけれど何をされるおつもりなのですか?」

「しゅごせきにするの」

「守護石?」

「そう。アクアマリンには、たましいにやすらぎをあたえ、こころとからだをすこやかにたもつこうかがあるのよ」

「どこでそんなことを覚えたのですか?」

「ほんにかいてあったわ」

「姫様の本好きは恐ろしいですね。ですが、魂に安らぎを与えるのならそれに姫様の魔力を注ぎ込むだけで守護石になるのでは?姫様は〈女神の愛し子〉様でいらっしゃるのですから」

 そう。〈女神の愛し子〉の魔力は様々なものを浄化する力がある。それ故、何でも浄化しないように魔力の制御が必要不可欠だ。

「……それだけじゃ、だめなの」

「?」

 呪いに対抗できるような完璧な守護石が欲しい。最高神と魔神王の力に対抗できる守護石なんて無いに等しいけれど、気休め程度にはなるだろうから。

___ユーリ、こっちだよ!

 失いたくない。嫌いだけれど、愛しているから。このままリオネス王国の王女として、家族の愛を一身に受けて幸せに生きてほしい。過去の記憶なんて必要ない。エリザベス・リオネスとして過ごしてくれれば、何の問題もないのに。

 (きっと…今回の(・・・)エリザベスには過去の記憶を取り戻す日がやってくる。〈七つの大罪〉が揃っている今、あの子の力は必要不可欠だから)

 けれど、それでもそんな日は来なければいいと思う。前世の記憶なんて、本来は失って然るべきものなのだから。

 (姉様はお転婆だから癒やしの魔法と幸運の魔法をかけましょう)

 キィィィ……とアクアマリンに魔法をかける。癒やしの魔法と幸運の魔法…そして、姉様がこの先も健やかに生きていけるように、ほんの少しの祝福を。

「あとは首飾り(ネックレス)のチェーンとちょっとアクアマリンの周りにダイヤモンドをつけて……できた!」

 まだ子供なので豪華すぎるのもどうかと思い、ダイヤモンドは控えめにした。

「……相変わらず姫様の魔法は幻想的ですね」

「そうかしら?」

「はい。女神の御業を体現されたような……お美しいですわ」

「ありがとう、マリア」

 褒められ慣れていないのでどう反応していいのか分からない。が、褒められるのは素直に嬉しい。

「ねえさま…よろこんでくれるといいな」

 姉様の喜ぶ顔を想像し、そっと微笑んだ。

第三王女生誕祭→←妹から姉へのプレゼント



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作者名:アストライアー | 作成日時:2023年4月1日 14時

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