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エイプリルフールと王女 ページ2

ー11年前ー

「メリオダスさま!」

 何をしに来たのかは知らないがまたもや離宮に遊びに来た〈七つの大罪〉…その団長であるメリオダス様を見て私は顔を輝かせる。

「どうした、ユーリ?」

「メリオダスさま、大好き!私と結婚して下さい!」

「嫌」

「即答!?」

 満面の笑みで抱っこをせがむように両手を伸ばす私の言葉を即ぶった斬るメリオダス様に恨みがましい視線を向ける。

「すまん。本音が出た」

「もう少し取り繕ってはいかがです?」

「お前相手に取り繕ってどうすんだよ。つーか、オレを毎年のようにエイプリルフールの標的(ターゲット)にすんの、やめろ」

 そう。今日はキングの誕生日であると同時にエイプリルフールでもある。だいぶ喋れるようになった3歳から毎年メリオダス様を標的(ターゲット)にして遊んでいる。

「だってメリオダスさまが一番餌食…じゃない、標的(ターゲット)にしやすいんですもの」

「今、餌食って言ったろ」

「まさか、そんなこと……。お年を召して耳でも悪くなりましたか?」

「その失礼な性格がエイプリルフールだったら良かったのになー」

「あなたも失礼ですね。普通、王女に対してそんなこと言いませんよ?」

「相手がお前だからな」

「どういう意味ですか、それ」

 互いに失礼な私たちのやり取りを見てバンが爆笑する。

「で、何をしにきたんですか?」

「暇潰し」

「暇潰しに離宮に来ないで下さい。エリー姉さまは宜しいんですか?」

「あいつは昼寝の時間だからな。ベロニカに追い出された」

 それは仕方ない。

〔侍女はいないのか?〕

「不気味な王女に関わりたい侍女なんていないわよ」

 お茶の準備をしている私を不思議そうに見るゴウセルにそう言葉を返す。

「マリアは亡くなったから私一人で身の回りのことをしているわ」

 昨年末、マリアは離宮に押し入った賊に殺されそうになった私を庇って亡くなった。それ以来、私は以前よりも離宮に引きこもるようになった。

「お茶飲んだらさっさと出て行って下さいね」

「お嬢、酷ぇ♪」

 バンの言葉を黙殺し、ディアンヌとマーリン、エスカノールとゴウセル以外のこの場にいる全員分のお茶を出す。

「そうそう、メリオダス様」

「ん?」

「大好きってことは嘘じゃありませんよ」

「へ……?」

 普通の顔でそう告げると、メリオダス様が目を瞬いた。それを見た私はくすりと笑い、ティーカップに口をつけた。



 Happyエイプリルフール♪

今日は何の日?→←妖精王と王女と侍女のティータイム



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作者名:アストライアー | 作成日時:2023年4月1日 14時

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