56話 ページ8
Aside
教室でクラスメイトみんなでワイワイやっている中、殺せんせーがプールにあった廃材で作ったバイクを披露していた。
「マジかよ殺せんせー! まるで本物じゃねーか!」
どうやら、吉田くんはバイクが好きらしい。
殺せんせーお手製のバイクを見る目が、キラキラと輝いている。
そこに寺坂くんが戻って来た。
明らかに不機嫌そうだ。
吉田くんと殺せんせーが仲良く話している姿を見て怒りが頂点に達したのか、寺坂くんがバイクを蹴り飛ばす。
殺せんせーはかなりショックを受けたようで泣いている。
「何てことすんだよ寺坂!」
吉田くんに続いて、みんなが寺坂くんを責め立てる。
「てめーら虫みたいにブンブンうるせーな。駆除してやんよ。」
そう言って寺坂くんは、机の中からスプレー缶を取り出し、床に叩きつけた。
缶の中からは勢い良く煙が吹き出してきて、わたしを含め皆はパニックに陥った。
なにこれ!
隣にいたカルマくんがわたしを抱き寄せ、煙を吸わないようにしてくれた。
「大丈夫?」
「…うん。ありがとう、カルマくん。」
「寺坂くん! ヤンチャするにも限度ってものが…」
「さわんじゃねーよ、モンスター。気持ちわりーんだよ。テメーも、モンスターに操られて仲良しこよしのE組(テメーら)も。」
注意をしようとした殺せんせーやわたしたちに向かって寺坂くんは叫ぶ。
「何がそんなに嫌なのかねぇ…気に入らないなら殺せばいいじゃん。せっかくそれが許可されてる教室なのに。」
煙が落ち着いたので抱き寄せてくれていたわたしを離してからカルマくんが寺坂くんを挑発する。
「テメー、ケンカ売ってんのかよ!上等だよ。だいたいテメーは最初っから…」
寺坂くんがカルマくんに近づいて行く。
カルマくんはそんな寺坂くんの口元を右手で強く掴み、左の人差し指を自分の口元に当てた。
「ダメだってば寺坂。ケンカするなら、口より先に手ェ出さなきゃ。」
「…ッ! 放せ! くだらねー!」
寺坂くんが自分の口元を掴んでいるカルマくんの手を叩いて、カルマくんから離れる。
そして、寺坂くんは教室を出て行った。
「…なんなんだアイツ。」
「一緒に平和にやれないもんかな…」
教室から出て行ってしまった寺坂くんに対して前原くんや磯貝くんが呟いた。
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作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時