カルマくんのお姫様2 (ページ6)

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54話ページ6

渚side
今日はプール開きの日。
教室にクーラーがない僕達にとっては、待ちに待った日。
けど、プールは本校舎にしかない。
炎天下の山道を1km往復して入りに行く姿は、人呼んで、"E組死のプール行軍"。
プール疲れした帰りの山登りは、力尽きてカラスのエサになりかねない。
「うー…本校舎まで運んでくれよ、殺せんせー。」
「んもー、しょーがないなぁ…と言いたいですが…」
どうやらマッハ20でもそれは出来ないらしく、前原くんのお願いはあっさりと断られてしまった。
とはいえ、殺せんせーもこの暑さには耐えられないらしい。

渚side
突然、殺せんせーは裏山の小さな沢に涼みに行こうと言い出した。
僕達は水着に着替えて、皆で沢を目指して裏山を歩いて行く。
「渚くん、この前すごかったらしいじゃん。見ときゃ良かった、渚くんの暗殺。」
僕の後ろを歩いていたカルマくんに話しかけられた。
僕は苦笑いをするしかなかった。
人間相手に通じても、この教室では意味が無い。
皆も毎日のように何かしら試みているけど、あの先生には、未だ決定的な暗殺ができていない。
「ヌルフフフフ。さぁ、着きましたよ。ご覧あれ。」
草の茂みを掻き分けると、そこにあったのは…
「先生特製の、E組専用プールです！」
「「いやっほぉう！！」」
皆が上着を脱ぎ捨てて、どんどんプールへと飛び込んで行く。
それを見て、僕もプールへと飛び込んだ。
こーゆー事してくれるから、うちの先生は、殺しづらい‼

Aside
カルマくんにエスコートされながら殺せんせーに裏山を歩いていくと、着いた場所は殺せんせー特製E組専用プールだった。
みんな嬉しそうにプールへ飛び込んでいく。
「星宮さんには特別に休憩スペースに小さなプールを用意しました。怪我をする心配がないように全ての石を丸く削ってあります。クラスメイトと同じようにとはいきませんが、少しでも楽しんでくださいね。」
殺せんせーがわたしのことを思って作ってくれたプールは足だけでも水に浸かれるようになっていたし、ベンチや日射しよけのパラソルまである。
至れり尽くせりだ。
「ありがとうございます！殺せんせー。」
みんなと同じように水着で思いっきり泳ぐことはできないけど、いつもと変わらない制服だけど、殺せんせーの優しさが単純に嬉しかった。