97話 ページ49
カルマside
肝試しの後殺せんせーとみんなは烏間先生とビッチ先生くっつけ作戦とかなんとかって言っている中、俺はAをビーチに連れてきた。
「カルマくん!そろそろ降ろしてっ!…恥ずかしいよ…」
なぜかわいい彼女がかわいく俺に抗議してくるのかと言うと、俺がAをお姫様抱っこをしてビーチを歩いているから。
「ダメだよ。砂浜歩いてAが怪我したら嫌だもん。」
1人で歩けるからなんて言う彼女に対して、最もらしい理由をつける。
ホントは俺が抱っこしたいから。
それと、さっきみんなと一緒に海で遊べなかった彼女のため。
Aは病気のせいで怪我をしたら命に関わるかもしれないから、危ないことはできない。
だから海では遊べない。
みんなが遊んでいるところを喜んで見ていたけれど、本当はきっとみんなと一緒に遊びたかったはず。
Aが海で遊ぶことはできないけれど、少しくらいなら、なんて思って連れてきた。
俺の足が海に浸かるくらいまできた時には、彼女は大人しく俺に身を預けていた。
「…夕日綺麗だね。」
彼女が独り言のように呟く。
「水面がオレンジ色ですごく綺麗。こんなに近くで海が見られて、嬉しい。」
喜んでもらえたようで俺は満足。
「カルマくん、ありがとう!」
そう言う彼女の顔はとびきりの笑顔。
俺はAのことは大好きだけど、笑った顔。
それが俺の1番好きな顔。
「A…」
いつまでも夕日や海を見ている彼女に呼びかけると彼女は振り向いた。
オレンジ色の水面に映るのは重なる2人の影。
数秒後に真っ赤な顔でちょっと拗ねる彼女の顔が見られるのは、想像に容易い。
いつまでもこんな幸せな時間が続けばいいのに。
Aも同じ気持ちだったらいいのに。
113人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時