53話 ページ5
Aside
わたしはいつも通り体育は見学をしていた。
カルマくんはというと、体育の時間になる前に、サボると言って裏山に行ってしまった。
Aも一緒に行こうと誘われたけど、いくらなんでも体調不良でもないのに授業をサボるのはダメだと思ったし、わたしにもできる訓練もあるかもしれないと思ったので断ってしまった。
するとカルマくんは少し機嫌が悪くなったのか、何も言わず行ってしまった。
怒らせちゃったかな。
どうしよう。
わたしがそんなことを考えていた時、鷹岡先生は突然、前原くんの鳩尾に膝蹴りを入れた。
えっ!何が起きたの!
カルマくんのことを考えていたため、その前のみんなと鷹岡先生のやりとりを全く聞いていなかった。
続いて鷹岡先生は烏間先生の授業を希望すると言った神崎さんの頬を殴った。
容赦のない一撃。
その光景を見て体が震えた。
怖い、でも…
何も悪いことはしていない2人に暴力を振るった鷹岡先生に怒りを覚えた。
「…やめて、ください。」
震える声と震える身体。
それでもわたしは鷹岡先生に抗議する。
「これ以上の暴力はやめてください。」
「暴力じゃねえよ。これは教育だ。お前も父ちゃんに逆らうなら…」
目の前に立ちはだかる鷹岡先生。
わたしの頬に強い痛みが走り、次に地面に全身が叩きつけられた。
それがわたしが覚えている最後の記憶だった。
目が覚めたのは夕方で、かかりつけの病院のベッドの上だった。
わたしは鷹岡先生に殴られて脳震盪を起こしてしばらく眠っていたそうだ。
そばにいた両親が教えてくれた。
そしてあの日の事の顛末を父から聞いた。
渚くんと鷹岡先生が勝負を行い、勝負は渚くんの見事な暗殺で勝利。
そして、今まで通り烏間先生がわたしたちE組の教官で落ち着いた。
よかった。やっぱり烏間先生がいいもんね。
安堵も束の間、わたしは無茶なことをするなとこっぴどく両親から怒られた。
余談だが、鷹岡先生、ではもうないその人に対して激怒している父を落ち着かせるのが1番大変だった。
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作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時