88話 ページ40
Aside
コンサートホールでの戦いを終え、さらに先へ進むわたしたち。
烏間先生もだいぶ回復してきたようで、一安心だ。
「皆さん、この上にいるであろう黒幕についてわかってきた事があります。彼は殺し屋の使い方を間違えている。」
驚くわたしたちにさらに殺せんせーは言葉を続ける。
「見張りや防衛なんて、それは殺し屋の本来の仕事ではない。彼等の能力は、フルに発揮すれば恐るべきものです。」
「確かにあいつ、狙った的は1cmたりとも外さなかった。」
殺せんせーの言葉に納得の千葉くん。
「カルマくんも、日常で後ろから忍び寄られたら…あの握力に瞬殺されていたでしょう。」
「…そりゃね。」
カルマくんも納得の表情だ。
烏間先生が個々に役割を指示し、ついにわたし達は最上階にたどりついた。
烏間先生の合図で、わたしたちは忍者も使うと言われた歩法であるナンバで、敵の背後に忍び寄る。
犯人の近くにある配線のついたスーツケースがある。
あれがおそらく、治療薬。
烏間先生の指示通りに動くわたしたち。
目的は犯人の拘束。
わたしは殺せんせーを預かる係。
1番後ろで待機。
いま、この瞬間、作戦が開始されようとした瞬間…
「かゆい。」
この声…どこかで…!
黒幕と思われる人物は、起爆のリモコンの予備を大量に用意していたらしく、座ったままそれらを後ろに放り投げた。
この人は…
「…連絡がつかなくなった人物は、3人の殺し屋の他にもう1人いる。防衛省の機密費、暗殺の予算とともに姿を消した内部の人間…どういうつもりだ。鷹岡ァ‼」
烏間先生の声が響く。
黒幕の正体は…鷹岡先生だった。
前とは別人ではないかと思わせるその表情、その言葉にわたしは体が震えた。
「屋上へ行こうか。愛する生徒達に歓迎の用意がしてあるんだ。ついて来てくれるよなァ? おまえらのクラスは…俺の慈悲で生かされているんだから。」
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作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時