カルマくんのお姫様2 (ページ35)

今日:47 hit、昨日:102 hit、合計:54,678 hit

83話ページ35

カルマside
片岡さんの案により女子が店に潜入し、裏口の鍵を開ける作戦が決まった。
俺はもちろんAのことを行かせたくなくて、繋いだ手を離そうとしなかった。
「危ないからダメ。ここで俺と一緒に待ってて。」
俺の目の届かないところでAに何かあったら、そう考えると彼女を送り出すことはできない。
繋いだ手にさらに力が入る。
「あのね、カルマくん。わたしだって、みんなの役に立ちたいから。だから、一緒に行きたい。」
そんな俺にAは微笑んでそう言った。
俺はとことん彼女の"お願い"には弱いらしい。
「…わかった。絶対危ないことしないでよ。体調悪くなったら絶対片岡さんに伝えて。あと、絶対俺のところに1番に帰ってきてね。」
繋いだ手を離し、彼女を抱きしめる。
「うん！」
とびきりの笑顔。
本当は離したくなんてないけど、こんな笑顔見せられたら仕方ない。
信じて待つ。
いまはそれが彼女にしてあげられることだ。

Aside
コソコソと話をしながらお店の中を進むわたしたち。
その時だった、渚くんが、ナンパされたのは。
声をかけてきたのはおそらく、こんな感じのお店に慣れているような、殺せんせーが言っていたような世の中をナメてるような子供。
そんな雰囲気を感じさせる同い年くらいの男の子だった。
「はい、渚。相手しといて‼」
片岡さんが半泣き状態の渚くんを犠牲にして先へと進む。
「よし！今のうち！」

けど、少し進んだところで…今度はいかにもって感じの怖そうな男2人組に絡まれてしまった。
「あのねぇ、言っときますけど……矢田さん？」
矢田さんが片岡さんの肩に軽くタッチして、私に任せてと言わんばかりに前へと出る。
ビッチ先生に借りたヤクザの代紋(エンブレム)をちらつかせ、矢田さんは見事に男達を撃退した。
「いくじなし。借り物に決まってるのにね。」
その後、わたし達は矢田さんが熱心にビッチ先生の仕事の話を聞いている理由を知って、矢田さんは見た目以上にしっかりしていて、カッコいいと思った。
「う…む…巨乳なのに、ホレざるを得ない。」
茅野さんのその発言に、岡野さんが衝撃を受けたような顔をしている。
まぁ、あれだけ巨乳を憎む茅野さんが巨乳に心を開いたんだ…そりゃ驚くよね。
矢田さんは将来のことを考えていまできることを頑張っている。
わたしは将来のことなんて正直考えたことがない。
大人になった自分が想像できない。
わたしがもし、大人になれたのなら今みたいにカルマくんの隣にいたいな。