82話 ページ34
− 6階 テラス•ラウンジ −
Aside
律によると、ここからVIPフロアへ通じる階段は、店の奥にあるらしい。
けど、裏口は鍵がかかっていて入れない。
ここから先に進むには、室内から侵入し、鍵を開ける必要があるらしい。
「俺たちは目立っちまうなぁ。」
烏間先生に肩を貸している磯貝くん。
「先生達はここで隠れてて。私達が店に潜入して、中から裏口を開けるから。こういう所は女子だけの方が、怪しまれないでしょ？」
片岡さんの言葉に矢田さんと不破さんが、うんうんと頷く。
確かに名案だ。
さすが片岡さん。
「いや…女子だけでは、危険だ…」
女子だけでの潜入に危険だと心配している様子の烏間先生。
「あー、だったら…」
隣にいたカルマくんは少しニヤッとして、渚くんを見つめる。
カルマくんに続いてみんなの注目を浴びる渚くん。
「ええっ…」
Aside
わたし達、女子全員…とカルマくんの提案によって女装した渚くんは、問題のお店に潜入していた。
女子での作戦なので当然わたしも参加しようと思っていたのに、カルマくんに危ないから、心配だからと言われて作戦に参加するのを止められたが、みんなの役に立ちたいからと言って送り出してもらった。
カルマくんが心配してくれるのも優しさからだとわかってるけど、わたしだってこのクラスのみんなの役に立ちたかった。
それに、プロの殺し屋相手にあんなかっこいい勝ち方をしてきたカルマくんをみた後ならば、なおさらそう思った。
「ほらぁ、男でしょ？前に立って守らなきゃ。」
「無理っ…前に立つとか絶対無理っ！」
楽しそうな不破さんと困っている渚くん。
「どうして…僕が…///」
「男手も欲しいけど、こういう所は男にチェック厳しいの。」
渚くんの泣き言に言葉を返す片岡さん。
正直ちょっとかわいそうだと思うけど、結構似合ってると思う。
「だからって…」
律も含めて作戦なんだからとか、似合ってるとか言いながら渚くんを宥める。
「自然すぎて新鮮味が無い。」
速水さんの意見に思わず心の中で賛成してしまった。
ごめんね、渚くん。
「そんな新鮮さいらないよ‼ どこにあったの、こんな服…」
「…外のプールサイドに、脱ぎ捨ててあった。」
渚くんと速水さんのやり取りを聞きながら独り言のように呟く。
「似合ってるよ、渚くん。」
「星宮さんまで！」
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作者名：麻倉 真音 | 作成日時：2020年5月5日 23時
