67話 ページ19
Aside
カルマくんたちと準備をした後は、千葉くん、速水さん、竹林くん、菅谷くんと一緒に射撃スポットの下見。
千葉くんと速水さんの仕事人のオーラに圧倒されてしまった。
夕方になりビーチに集合すると、殺せんせーは歯まで真っ黒に日焼けしていて、もはや表情が読み取れなくなっていた。
このままだと、前も後ろもわからない。
予想外の事態に、みんなも戸惑っていた。
けどそれは、夕食の前に殺せんせーが月1でしか使えない、本来はヤバい時の奥の手であるはずの脱皮をしてくれたおかげで、無事に解決した。
すっかり元通りの姿になった殺せんせーは、脱皮をした事により、暗殺前に自ら戦力を減らしてしまった事を悔やんでいる。
「本ト、ドジすぎて救えない。」
「自業自得だな。」
速水さんと千葉くんの呟きに同意せざるを得なかった。
夕食を済ませたわたし達は、ホテルの離れにある水上チャペルへと移動した。
殺せんせーはたっぷり船に揺られて船酔いしている様子だったが、みんなの全力の暗殺に期待の表情だ。
さあ、みんなが頑張って準備したこの暗殺。
どうか、成功しますように。
まずは三村くんが編集した動画鑑賞。
そのあとテストで1位をとった7人が触手を破壊する。
殺せんせーに磯貝くんが説明する。
チャペルが暗くなり動画が始まる。
動画の途中でチャペルを出たわたしは、射撃の準備をして持ち場に移動する。
「じゃ、いこっか?」
わたしの持ち場まではカルマくんが送ってくれる。
今回の暗殺でのわたしの役目はいわばオトリ。
水上チャペルで映画を見ている殺せんせーの後方からあたかも先生を狙い撃ちするかのように偽装させた、千葉くんと速水さんのダミーに真実味を持たせるため、殺せんせーを狙う。
本物の2人は別の場所から殺せんせーを狙う予定だ。
持ち場に着くとカルマくんは自分のスマホを操作してわたしのスマホに電話をかける。
不思議そうに見ているわたしに笑顔で説明してくれた。
「Aが寂しくないように、だよ。暗殺の様子やナビゲートは律が勝手にやってくれるだろうから。寂しくなったら話してきて。」
それじゃ、気をつけるんだよ。
そう言って彼は顔を真っ赤にしているであろうわたしを残して自分の持ち場に戻って行った。
113人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時