62話 ページ14
カルマside
期末テストの前日。
皆が前回と同じように殺せんせーの大量の分身と高速強化テスト勉強に真剣に取り組む中、俺は顔に本を乗せて、大きなあくびをしていた。
俺がこんなに退屈している理由はただ一つ。
Aが隣にいないから。
彼女は頑張りすぎて体調を崩して入院してしまった。
彼女がいないと俺は何もやる気が出ない。
そこまで俺は彼女に溺れているらしい。
渚くんたちの話によるとA組の奴らと勝負することになったらしいが俺のやる気は全く出なかった。
A組とE組、より多くの1位を取った方が勝ち。
勝った方がなんでも1つ命令できる、らしい。
だが俺はそんなことどうでも良かった。
Aが元気でいてくれなければ意味がない。
俺は彼女が入院してから毎日お見舞いに行った。
少しでもそばにいたくて。
Aはいま体調を崩したことを後悔している。
自分が少しでもクラスの役に立てるかもしれない。
だから彼女は頑張っていたのに。
頑張りすぎて体調を崩した。
俺がもっと気にかけてあげられたら良かったのに。
俺はそんな彼女が心配で元気になって欲しい。
ずっとあのかわいい笑顔でいてほしいから。
「こらカルマくん、真面目に勉強なさい! 君なら充分、総合トップ狙えるでしょう!」
退屈そうにしていたら殺せんせーに怒られた。
「言われなくてもちゃんと取れるよ。あんたの教え方が良いんでね。けどさぁ、殺せんせー。あんた最近トップ、トップって…フツーの先生みたく安っぽくてつまらないよね。」
殺せんせーの分身が一斉に消える。
「それよりどーすんの? 明らかに何かたくらんでるよね。そのA組が出した条件って…」
「心配ねーよ、カルマ。このE組がこれ以上失うモンはねーよ。」
俺の言葉にあっけらかんと答える岡島。
「勝ったら何でもひとつかぁ。学食の使用権とか欲しいな〜」
倉橋さんは願望丸出し。
「ヌルフフフフフ。それについては先生に考えがあります。これをよこせと命令してはどうでしょう?」
そう言って殺せんせーが私達に見せたのは…学校案内のパンフレット。
殺せんせーも何か企んでるね…
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作者名:麻倉 真音 | 作成日時:2020年5月5日 23時