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『はあ…』
ポストに届く大量の手紙。
殴り書きのようなものから、パソコンで打ち込まれたものまで。
そのすべてがバッシング。
…よく毎日続くなあ。
全部ゴミ箱に捨てて、ベッドに潜り込む。
嫌がらせの手紙もネットの心ない批判も、何もかも気にしている余裕なんてない。
そりゃあ多少落ち込むことはあるけど…不特定多数にバッシングされるより、本人に嫌われてるほうがよっぽどダメージ大きいし。
『明日も、か…』
明日も朝から臣さんと一緒。
きっとまた睨まれて、罵られる。
テレビをつけると、こないだ収録したバラエティ番組がちょうど放送されていた。
話す私の横で穏やかな笑みを浮かべる臣さん。
…こんなの、知らない。
テレビなんて、嘘ばっかりだ。
真実なんて、なにひとつ映ってない。
耐えきれずにテレビを消す。
…あんな世界ならいいのに。
臣さんと仲が良くて、バラエティとかにも引っ張りだこで…。
『…やめよ』
虚しいだけだ。
「いつまでこんなん続くんだろうな」
朝に聞いた臣さんの声が頭をよぎる。
こんな形で出会わなければ、もっと違う未来があったのかな。
虚しいと分かっていても、叶いもしない”もしも”を考えてしまう私がいる。
…やだなあ。
前までは…こんな事になる前までは、毎日が楽しくてキラキラしてた。
目覚めてカーテンから朝日が差し込むのを見るたびに心が躍ったし、仕事が少なくても夢のためにひたすら努力することには何も躊躇いはなくて。
…今は、無。
本当に何もない。
あんなにスッキリと目覚めていた朝には弱くなったし、仕事に行くにも身体は鉛のように重い。
憧れていたスタジオでのソロの撮影も、ソロのインタビューも。
何も感じない。
感じるとしても、不快感だけ。
誰も助けてくれない。
どうして?
『…嫌い』
言霊なんて、嘘。
口にしたら本当になるなんて…そんなわけないじゃん。
嫌いになれたらよかった。
口にしたって、臣さんへの気持ちはこれっぽっちも変わらない。
『助けて…』
ああ、本当に嘘つき。
誰も助けてなんてくれないじゃない。
どんなに吐き出しても、飛び出た言葉は真っ暗な部屋に霧散して跡形もなくなる。
どうしたらいいの?
どうしたら…救われる?
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nao(プロフ) - 更新停止になっていてびっくりですT_T悲しいですT_T (2015年10月4日 15時) (レス) id: 2587847f15 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - すっごく面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2015年10月1日 1時) (レス) id: 7f488f7675 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - あゆさん» コメントありがとうございます。主人公と三代目の関係も少しずつ発展していきます。なるべく早く更新できるよう頑張りますので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2015年8月30日 8時) (レス) id: c51140edff (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 三代目fanさん» コメントありがとうございます!主人公と三代目がどうなっていくのか…更新はゆっくりですが、想像しながらお待ちいただけると嬉しいです。 (2015年8月30日 8時) (レス) id: c51140edff (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - おー面白い(≧▽≦)何のタイムリミットなの?気ーにーなーるー!!更新、めっちゃ待ってますよ! (2015年8月29日 22時) (レス) id: 7f78f03745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆと | 作成日時:2015年5月19日 19時