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「全部あんたのせいよ」


ごめんなさい。


「あんたなんていなくなればいいのに」


ごめんなさい。


「産まなきゃよかった」


ごめんなさい、お母さん。






ビクリと体が跳ねる衝撃で目が覚めた。

目に飛び込んできたのは不自然なほどに真っ白な壁と、カーテン。

少し鼻につく消毒液の匂い。

…すごく、嫌な夢を見ていた気がする。

濡れた頬を袖で拭って、ぼんやりと体を起こす。

今、何時?

何でこんなところで寝てるんだっけ。


「A!よかった…」


突然の声に、また体が跳ねそうになった。

起き上がって初めて、ベッドサイドに腰掛ける人影が見える。


『……っ…あ…?』


それがHIROさんだと分かった瞬間、一気に脳が覚醒していく。

そうだ。

わたしのせいでスタッフさんが怪我をして、それで。


『ス、スタッフさんは!?』

「…ああ、大丈夫。完治までにちょっと時間はいるけど…傷も残らないそうだ」

『よかっ…』

「よくない。Aは絶対安静だそうだ。精神的にだいぶ参っているだろうから、って。どうして…」


ここまで一気に言って、HIROさんは口を閉ざした。

どうして言わなかった、かな。

どうして何も対策しなかった、とか?

さっきまでのことが嘘みたいに嫌に冷静に続きを考える私の頭。


「…………悪かった」

『え…?』


沈黙の後に続いた言葉は私の予想とはまるっきり外れていて、間抜けな声が漏れた。


「三代目とAがうまくいってないことも、一応スタッフから聞いてはいたんだ。嫌がらせの手紙があることも、Aから報告は受けて…それでも、手が回らなかった。もっと配慮してやるべきだったのに…申し訳ない」


何でHIROさんが頭を下げてるのか、理解のしようがなかった。

悪いのはいつだって私で、謝るのもいつだって私だった。


「辛かったら…もう、」


HIROさんはそれ以上は声に出そうとはしなかったけれど、それがタイムリミットを告げるものだということはすんなりと胸の中に収まった。


『…大丈夫です』


それでも、浅ましい私はHIROさんが望んでいない言葉を吐く。

三代目さんを守るため、なんて。

もちろんそれもあるけど、そんなのただの綺麗事で、本当は全部私のため。

”嫌いなやつ”のカテゴリーでも、あの人の心の中に居場所が欲しかった。


『ごめんなさい』


無関心が、何よりも怖いから。

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , EXILETRIBE , 登坂広臣   
作品ジャンル:タレント
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nao(プロフ) - 更新停止になっていてびっくりですT_T悲しいですT_T (2015年10月4日 15時) (レス) id: 2587847f15 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - すっごく面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2015年10月1日 1時) (レス) id: 7f488f7675 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - あゆさん» コメントありがとうございます。主人公と三代目の関係も少しずつ発展していきます。なるべく早く更新できるよう頑張りますので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2015年8月30日 8時) (レス) id: c51140edff (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 三代目fanさん» コメントありがとうございます!主人公と三代目がどうなっていくのか…更新はゆっくりですが、想像しながらお待ちいただけると嬉しいです。 (2015年8月30日 8時) (レス) id: c51140edff (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - おー面白い(≧▽≦)何のタイムリミットなの?気ーにーなーるー!!更新、めっちゃ待ってますよ! (2015年8月29日 22時) (レス) id: 7f78f03745 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆと | 作成日時:2015年5月19日 19時

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