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「さっき何話してたの？」
もうとっくに見えなくなったAの背中をのんびり追いかけながら、涼太くんは振り返った。
『ん？』
「なんか、すごい近かったから」
『んー…内緒』
「もー。なにそれ」
アルコールも手伝ってか、むっすりと露骨にむくれる涼太くんはらしくなくて、ほんの少しの優越感。
どんな内容にせよ、”Aが俺だけに打ち明けてくれた秘密”の存在が、俺を浮かれさせていた。
「ねえ、隼はさ」
『うん』
「……んーん。何でもない」
くるりとまた進行方向に顔を向けた涼太くんが今、どんな顔をしてるかなんてわからない。
「…俺さ、好きなんだよね。Aちゃんのこと」
ふんわりと柔らかかった声色が緊張感を帯びたそれに変わる。
背筋がひやりとしたのはきっと、外気のせいだけじゃない。
『……』
何か言わないと不自然だとは思っても、それを肯定する言葉は急には出てこなかった。
それでも、心のどこかでは”やっぱりな”なんて思ってる自分もいて。
「もう、ちゃんと気持ちも伝えたし…本気」
何も言えない意気地なしには本気になる資格なんてないって、そう言われているような気がした。
そういえば、Aの好きな人って。
可愛い系で、背が高くて、スラッとしてる。
…あの時は相手が女の子だと思ってたけど、結局Aは女の子で、つまりこれは男の特徴を意味するもので。
「隼には言っておかなきゃって思ってさ」
それは俺に対する挑戦状？
それとも、ただの嫉妬？
もう一度振り向いた涼太くんは笑っていたけれど、俺には獲物に牙を剥く狼にしか見えなくて、少しだけ視線をずらした。
『……そっか』
情けないけど、それが精一杯で。
満足したようにまた前に顔を戻した涼太くんは、それ以上何かを言おうとはしなかった。
涼太くんはいつ、打ち明けたんだろう。
俺がAの好きな人を聞いたのは、いつだったっけ。
…両想いだとしても、俺は。
『…俺はAがしあわせなら、それでいい』
でも、隣でAをしあわせにするのは俺がいい。
大人になりきれない俺のエゴ。
涼太くんがどう思ったかはわからない。
でも、これが開戦の合図なんだと、漫然と思った。
他人と自分を線引きしたがるAは、涼太くんにどこまで心を許しただろう。
除夜の鐘を聞いたのに、もう俺の頭は煩悩で溢れてて。
…全部全部、Aのせいだ。
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ゆと(プロフ) - みさっこさん» 返信が大変遅れて申し訳ないです。作品が好きと言っていただけて本当に嬉しいです！更新は遅いですが引き続き応援していただけると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2015年8月29日 19時) (
レス) id: c51140edff (このIDを非表示/違反報告)
みさっこ - すみません、横からですが、、、笑 ゆとさんの作品とても好きです♪ゆっくりでいいので、頑張ってください。更新たのしみにしています。 (2015年7月14日 1時) (レス) id: f7a4edcd84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - すばるさん» お久しぶりです！コメントありがとうございます。書きたいことはたくさんあるんですが自分の納得のいく出来にならなくて…毎回おまたせしてしまってごめんなさい！これからも遅めの更新になってしまうとは思いますが、お付き合いよろしくお願いします。 (2015年5月21日 21時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - ゆとさん» お久しぶりです。小説を書くことは色々と大変ですよね…。ゆっくりでいいので、頑張ってください！応援してます。 (2015年5月20日 17時) (レス) id: 818dd67184 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - ぽにょ太さん» 返信遅れてしまってごめんなさい！ずっと読んでくださってるんですね！嬉しいです。本当にゆっくりですが少しずつ更新していきますので今後の展開を予想しながら待っていただけたら嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2015年5月19日 20時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆと | 作成日時：2015年3月2日 14時
