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『…お願いします』
緊張でピリピリとした空気の中、僕の声が静寂を破る。
監督が頷いたのを見て、小さくひとつ深呼吸。
「アクション！」
教室へ入ると僕に向けられる奇異の目。
演技とはいえゾッとした。
『…どうしたの？』
「これ、拾ったんだけど。どういうこと？外崎くん」
ニヤニヤしながら加奈子が近づいてくる。
隣の智美の手には、開かれた状態の外崎の生徒手帳。
中からユニフォーム姿の桐谷の写真が覗いている。
「今時のJKでもやんないけど〜これって、好きな相手の写真ってやつ？」
「やつ？」
「つまり、外崎って〜」
「「ゲイ？」」
『違う！』
猫なで声で絶妙な掛け合いを披露するKTを頭の隅で賞賛しながら、打ち合わせ通り食い気味に台詞を被せる。
「しかもこれ、桐谷カメラ目線じゃないし盗撮？」
「盗撮？」
『それは…』
「「サイテー」」
『ちがっ…』
弁解しようとすればするほど、非難される。
そもそもKTの言っていることに弁解のしようもないのが現状だ。
外崎にとっては図星なんだから。
『…………』
「無言の肯定、ってやつか？」
遊沢がそう言うと、森野が茶々をいれながら僕を突き飛ばす。
尻もちをついたところが衝撃で痺れた。
そこに登校してくる桐谷。
「お、噂をすればご本人登場〜」
「……？」
森野の下卑た声に、桐谷は状況が掴めず困惑。
「ちょうどいいや。俺、みんなみたいにお前のことすんなり受け入れるとか無理なわけ。急にバスケ部戻ってきてさあ…」
遊沢は桐谷に近づくとそう告げて腕を引き、僕の目の前で放った。
「ってえ…」
呻く桐谷と不敵な笑みを浮かべる遊沢。
「いいこと思いついた。森野、お前桐谷押さえろ」
「はいよ」
森野に押さえつけられる桐谷を横目に僕も遊沢に羽交い締めにされて、後頭部を掴まれる。
…いよいよだ。
『遊沢、何するつもりだっ！』
「別に？お前らのキューピッドにでもなってやろうかなって思ってな」
目の奥が笑っていない遊沢の顔が見えて、そのまま暴れようとしている桐谷の顔に僕の頭が無理矢理押し付けられる。
ガチリ。
編集ではない音と予想以上の衝撃で脳みそが揺れたような気がした。
『ッ…！』
「ぐっ…」
タイミングが悪かったのか、思いっきりぶつかってしまった僕と片寄さんの歯。
それでも、長回しだから止められない。
あまりの痛みに生理的に涙がこぼれて、頬を伝っていくのがわかった。
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ゆと(プロフ) - 片寄画伯さん» 5で明言していますが、主人公は女性です。紛らわしくてすみません…。 (2014年11月26日 23時) (
レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
片寄画伯(プロフ) - 主人公は女ですか？ (2014年11月26日 23時) (レス) id: 85bff416cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 乃愛さん» ありがとうございます。短編も長編も頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2014年11月24日 0時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛 - ゆとさん» あらすじを決めるまでがスランプなんですね、笑 結局、何も分からないとスランプにはなるもんなんですね。笑← 短編も見てます！めっちゃ面白いです。両作品これからも頑張ってください！応援してます。 (2014年11月23日 21時) (レス) id: 7d48793382 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 乃愛さん» 他の作者さんの作品もたくさん読みますよ！他の人が書いたもののほうがやっぱり面白いので…笑 私はあらすじを決めるまでに結構悩むので、お話が思いつかないとスランプにもなりますね…。今は短編にも挑戦しているんですが、やっぱり小説を書くのは難しいです。 (2014年11月23日 10時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆと | 作成日時：2014年10月28日 11時
