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撮影は順調に進んでいき、いよいよ僕の出番。
コートにお辞儀をして入っていく桐谷と、桐谷にボールを渡す芹澤。
そしてその様子を入り口から眺める外崎。
コートに入る二人の背中を追いかけて体育館へ走り、生徒手帳を落とす。
それだけ。
台詞が無いシーンというのは、案外台詞を話している時よりも難しい。
だからこそ、燃えるというもの。
「アクション！」
監督の声が響いて、カメラがまわる。
桐谷がお辞儀をして、芹澤がボールを渡す。
僕からは後ろ姿しか見えないのに、芹澤と桐谷が1年間で作り上げてきた友情や信頼がこの一瞬で見えた気がして、身震いした。
僕も、負けない演技がしたい。
そう思って、二人の背中に駆け寄った。
…瞬間、ふわりと身体が浮いた。
『っ…』
何が起きたかわからなかった。
「SHINOさん！大丈夫ですか！？」
「カット！」
監督の声で、撮影が止まる。
目の前には白い床。
転んだ…？
すぐにまわりにスタッフさんたちが駆け寄ってきて、片寄さんと竜星さんも驚いた顔でこっちに向かってきてる。
『あ、』
自分でも真っ青になっているのがわかるくらい血の気が引いた。
『すみません！二人の演技を見てちょっと力んでしまったみたいで…本当にすみません！』
考えるより先に口が動いていた。
どうしよう、どうしよう。
「SHINOさん、大丈夫なんだね？」
『はい、大丈夫です！すみません、もう一回お願いします！』
「…いいんだよ、そんなに謝らなくても。むしろいつも完璧にこなされてたから、転んだりしてNG出してくれたほうが人間味があるってもんだ」
平謝りする僕に、監督は平然とそう言い放った。
『え、』
予想外の言葉にフリーズしていると、竜星さんが突然笑い出した。
「謝り倒したと思ったらフリーズとか、SHINOさんってそんなキャラだったんだ。なんか意外」
あ、動揺しすぎてただの篠宮Aに戻ってた。
「…うん。なんか親近感わく。こっちのが好きだな、俺」
片寄さんの言葉に頷いているスタッフのみなさん。
『そう、ですか？』
「うん。肩の力抜けてて、自然な感じ。親しみやすいよ」
大丈夫なら撮影再開だ、という監督の声と共にスタッフさんたちが定位置につく。
「…SHINOさん、そんなに無理しなくてもさ、みんなSHINOさんのこと受け入れてるからね」
スタンバイ間際にこっそりそう耳打ちしてきた片寄さんは、いつかの龍友兄みたいないたずらっ子の笑みを浮かべていた。
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ゆと(プロフ) - 片寄画伯さん» 5で明言していますが、主人公は女性です。紛らわしくてすみません…。 (2014年11月26日 23時) (
レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
片寄画伯(プロフ) - 主人公は女ですか？ (2014年11月26日 23時) (レス) id: 85bff416cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 乃愛さん» ありがとうございます。短編も長編も頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2014年11月24日 0時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛 - ゆとさん» あらすじを決めるまでがスランプなんですね、笑 結局、何も分からないとスランプにはなるもんなんですね。笑← 短編も見てます！めっちゃ面白いです。両作品これからも頑張ってください！応援してます。 (2014年11月23日 21時) (レス) id: 7d48793382 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - 乃愛さん» 他の作者さんの作品もたくさん読みますよ！他の人が書いたもののほうがやっぱり面白いので…笑 私はあらすじを決めるまでに結構悩むので、お話が思いつかないとスランプにもなりますね…。今は短編にも挑戦しているんですが、やっぱり小説を書くのは難しいです。 (2014年11月23日 10時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆと | 作成日時：2014年10月28日 11時
