僕と幽霊の１０日間【モブサイコ100】

3日目.名前 ページ9

アラームが鳴り響く。朝。僕は起きあがる。

一番に思うことは、今日こそ聞かねば
ならないということ。あの幽霊の名前を。



思えば出会ってから2日間もよく名前を知らずに
いれたものだ。名前を知らないと色々不便なこと
だってあるというのに。


しかし、自己紹介もしていないのにあいつが僕の
名前を知っていることを、今更不思議に思う。


まさか出会う前からずっと後を
つけられていたのではないだろうな。


そんな想像をするも、やつならありえなくは
ないと思い考えるのをやめた。



出会って3日目の朝だ。
玄関を開ければ、さっそく見慣れた顔が見えた。




「あっ、律おはよう。」


「……おはよう。」


「うんうん、今日も学校だ。元気にやってこうね！」


「その挨拶やめない？……鬱陶しい。」


「えっ、わ、わかった……。」




あからさまにショックを受ける幽霊。
唇を尖らせて肩を落とす。完全にいじけている。


慣れたものだ。




「それより、ずっと聞きたかったんだけど、君の
名前って何？」


「あれ、そういえば言ってなかったね。えーっと……」




単純な幽霊はその質問にコロッと態度を変える。


黒目だけ上を向いて何かを思い出している様子だ。


そしてそのまま数秒考えたあとに、なにやら
深刻な顔をしだした。




「……名前、思い出せない……。」


「忘れたのか。」




「本当に迷子だな」なんて口に出してみると
幽霊は申し訳ないような、頼りない子供のような
表情で目をそらした。



名前を忘れたということは身元がわからない
ということになる。そうなると、成仏も難しく
なるんじゃないか？



以前、エクボが言っていたことを思い出した。



霊は長い間成仏できずにいると悪霊化する可能性
が出てくること。

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