12日目.無断遅刻 ページ43
あぁ、もう我慢ならない。
○
「影山、一年の町田は一週間連続で遅刻や
無断欠席を繰り返しているそうだが」
朝の生徒会会議中。
副会長の徳川先輩に指摘された
のはやはり元幽霊のことだった。
「ええ、ですが副会長。彼女は転校生です。
更には特殊な事情があります。まだ学校に
慣れないのも、無理はないかと」
「そうか。だが規律は規律だ。そろそろ
遅刻指導も開始した方がいいだろう。なに、
無理に厳しく当たれとは言わん」
「影山くんは同じクラスだっただろう?声を
かけるだけでもいいんだ。頼めないかな?」
会長までもが言い出す始末だ。
もちろん後輩の僕に反論の術はない。
ここまでくると、僕と元幽霊には何か打ち消せない
特別な縁でもあるのかもしれないとすら思える。
「分かりました」
僕は渋々了承した。
○
「町田さん。おはよう」
「お、おはよう……」
さぁ、僕は今正門の前に立っている。
時刻は9時50分。
堂々と遅刻して現れた元幽霊に対し、
威圧的な笑みを浮かべて歓迎した。
「町田さん、遅刻だね」
「………ごめんなさい」
震える元幽霊。
仁王立ちの僕。
なんだか懐かしい気がした。
正直に言おう。僕は吹っ切れている。
そもそもなんだ。何故僕がこいつに気を
遣ってやらなきゃならないんだ。
こいつが勝手に僕のことを忘れただけだ。
最初に近寄ってきたのだって、催眠術を
失敗したのだって、全部こいつのせいだ。
なのにどうして僕が気を遣う必要がある?
僕は元幽霊に踏み寄る。
「町田さんは転校生だからね。まだ学校に
慣れないのも分かるよ。でも遅刻は良くない。
しかも無断遅刻。連絡の一つくらいしてみたら
どうかな?」
突然の態度の豹変に元幽霊はもちろんふるふる
と震えている。恐怖で目は真っ暗になっている。
「……あの、ご、ごめんなさい」
「別に謝ってほしいわけじゃない。今後遅刻は
しないと約束してほしいだけだよ。町田さん
はよくても指導係の僕は叱られるから」
わかった?と聞くと、慌てたように一生懸命に
縦に首を振る元幽霊。相変わらずの様子に、僕は
少し懐かしさを覚える。
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見毛 - すごい丁寧に書かれていてお話も面白い…とても面白いです…!律くんかっこいいなぁ…更新楽しみにしています (2019年4月2日 3時) (レス) id: fc0f2493d3 (このIDを非表示/違反報告)
ロイちゃん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!更新頑張ってくださいっ!! (2016年11月22日 6時) (レス) id: 0dbc3b26b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2016年10月23日 17時