7日目.夕暮れ ページ23
新幹線に乗り込んだ時にはもう既に夕暮れ時になっていた。
車窓から差し込む夕日はやっぱり綺麗で、
僕も幽霊もその景色に見とれる。
「ねぇ、律。」
幽霊は車窓に夢中のまま僕を呼んだ。
「何？」
「海、綺麗だったね。ヤドカリとかいたね。」
「うん。」
「ちっちゃいカニとかもいたし……。」
幽霊は話しながらやけにそわそわした態度をした。
目をゆっくり泳がし、踵をとんとん鳴らし
ながらそんなことを言う。
こいつは何か他に言いたいことがある時に、
こういう態度になることを僕は知っていた。
「……で、本当に言いたいことは何？」
ついに幽霊に助け舟まで出すようになったか。
なんて思いながらも僕は海での出来事ばかりを
話す間抜けな幽霊に本題を話すよう促す。
幽霊は図星を突かれたのかギクリと動きを止めた。
「えーっと……その、律にお願いがあるの。」
「なに。」
「今から私が言うとおりに行動してほしいの。」
「……聞くだけ聞くよ。どうしてほしいんだ？」
幽霊は何やら意気込んだ顔をすると、
どこからか紐のついた五円玉を取り出した。
「さ、さっそく、貴方に催眠術をかけたいと思います。この五円玉をじーっと見ていてください……。」
「…………。」
何をやりだすかと思えば、全く風情も
クソもないことをこの綺麗な景色の中
で始めるらしい。
胡散臭く糸に垂れ下がる五円玉を、僕は
冷めきった目で見つめる。
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見毛 - すごい丁寧に書かれていてお話も面白い…とても面白いです…!律くんかっこいいなぁ…更新楽しみにしています (2019年4月2日 3時) (
レス) id: fc0f2493d3 (このIDを非表示/違反報告)
ロイちゃん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです！更新頑張ってくださいっ！！ (2016年11月22日 6時) (レス) id: 0dbc3b26b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2016年10月23日 17時
