6日目.パフェ ページ18
「……勘弁してよ。僕一人じゃ入りづらい。」
「……そっか、うん……。」
……あぁ、こいつは本当にたちの悪い凹み方を
する。お手本のように肩を落として目をそらされ
てしまえばどうにも可哀想になってしまうじゃない
か。
飢えた子犬のように店の方を見つめる幽霊は
どうしようもなく不憫。
しかし、あんな店、恋人を連れているならまだしも
男の僕一人ではなかなか難易度が高い。
「一応聞くけど、どれが食べたいの。」
「えっ、いやいや!いいよ!……ごめんね、律。
私、我儘ばっかりで。それに私幽霊だから何も
食べれないし……。」
「だから一応だって言ってるだろ。いいから
どれか選べ。」
「……えっと……。」
「これ、かな」なんて恐る恐る指差したのは
クリームが何層にもなったイチゴのパフェ。
アイスやワッフルなんかも乗っかっていて結構な
ボリュームだ。
「君、意外と王道が好きなのか。」
「わ、わかんない。けど私こういうの食べたこと
なくって。」
一回でいいから食べてみたかったなぁ、なんて
はにかむ幽霊はどこか諦めた表情で物悲しい。
……海に行ったことも、パフェを食べたことも
ないという。下手したらこういうショッピング
モールも初めてなんじゃないかと思う。
この幽霊はいったいどんな生前を送っていたのか。
「……いくよ、ほら。」
ショーウィンドウに並ぶスイーツに釘付けの
幽霊に小さく声をかければ、やはり大人しく僕の
後ろをついてくるのだった。
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見毛 - すごい丁寧に書かれていてお話も面白い…とても面白いです…!律くんかっこいいなぁ…更新楽しみにしています (2019年4月2日 3時) (レス) id: fc0f2493d3 (このIDを非表示/違反報告)
ロイちゃん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!更新頑張ってくださいっ!! (2016年11月22日 6時) (レス) id: 0dbc3b26b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2016年10月23日 17時