1日目.出会い ページ2
僕に鋭く睨み付けられたその女の幽霊は、
その視線に少し戸惑っているようだった。
ちょうど僕と同い年くらいの見た目だ。
こんな早くに死んでしまったのかと
考えると少々気の毒な気はしたが、
何歳だろうと霊に付きまとわれるのは
まっぴらごめんだ。
僕は揺らぐことなく冷たい視線を
彼女に送り続ける。
そんな視線に彼女は目よろよろと泳がせ、
うつむくと今度は言い訳っぽく口を開いた。
「えぇっと、確かに私は幽霊だけど……。その、せっかく声が聞こえる人に会えたから、久しぶりに誰かとお喋りしたくて…。」
ダメかな、と困ったように笑いながら下がった眉のまま僕を見つめ返す。
そんな表情に、少し揺らぎそうになった。
……だが、揺らいだりしてはいけない。
ついてこられたら僕だって困る。
もし家にまでコイツが来たらどうする？
兄さんたちにまで迷惑がかかるに違いない。
律「ダメだ。」
僕はスッパリそう言った。
……そんな、寂しげな表情を
されたってダメなものはダメだ。
他の、僕とは違う優しい誰か
にでもかまってもらうといい。
僕は彼女に背を向けると
また通学路を歩き出した。
少しだけ、彼女の今後を心配しながら。
「じゃ、じゃあ、１０日間だけ！」
律「……はぁ？」
「と、１０日間だけでいいの。それに君の言うことは絶対に聞くって言う条件付きで！……どう？」
いや、どう？と聞かれてもだな……。
わざわざ僕の目の前に来てまで彼女が
懇願する理由はよくわからない。
……が、少し考えれば、コイツの意見を
飲んでやってもいい、というそんな甘えが
僕の中にも滲みでてきた。
僕の言うことを絶対に聞くのであれば
家にはついてくるなと言えばいいし、
１０日間だけなら、勉強や生活にも
大した支障は出ないだろう。
律「……わかった。その代わり、僕の言うことを聞かなかった場合には即その場で除霊するから。」
「う、わかった……！」
その幽霊は若干複雑そうな表情を
したものの、嬉しそうに頬を紅く
染めるとふにゃりと笑った。
「よろしく、律くん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
見毛 - すごい丁寧に書かれていてお話も面白い…とても面白いです…!律くんかっこいいなぁ…更新楽しみにしています (2019年4月2日 3時) (
レス) id: fc0f2493d3 (このIDを非表示/違反報告)
ロイちゃん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです！更新頑張ってくださいっ！！ (2016年11月22日 6時) (レス) id: 0dbc3b26b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2016年10月23日 17時
