1日目.通学路 ページ1
「律、いってらっしゃい。」
律「いってきます。」
生徒会の会議のため、僕は
いつも通り早くに家を出た。
誰もいない通学路というのは結構
退屈なもので、僕はスクールバッグ
から文庫本を取り出すとそれを退屈しのぎ
にペラペラとめくる。
ただ、寝て起きたばかりの頭は
文庫本をスラスラと読むだけの
集中力をまだ発揮できずにいた。
今朝の朝食のトーストは美味しかったな、
明日は目玉焼きがついているといい、
なんていう呑気な考えしか、今の僕の脳みそ
は考えることがなかった。
こんなのんびりした朝も悪くない。
こんなにいい天気だし、せっかく
だから今日は呑気なことばかりを
考えて登校するのもありだろう。
僕は文庫本の内容を一行も読まない
まま、それをスクールバッグへ再び
しまう。
なんだか、今日はいい気分だ。
僕の思う清々しい朝とはこのことだ。
ただ、そんな晴れやかな気分は
次の瞬間にスッと消え去るのだが。
「あの、すみません。」
背後から聞こえた、しおらしく上品な声。
僕はその声の方を振り向こうとしたが、
途中で思い止まり、振り向くのを止めた。
無視してどんどん通学路を進む。
「あの、あのー、すみません。あの!」
少し声量が強まるが、そんなの関係ない。
僕は無視をする。
あぁ、せっかくのいい気分を害された。
なんて憂鬱だ。最悪だ。
「ちょっと、私の話聞いてくださいよ!」
律「嫌です。」
「あ、やっぱり聞こえてるんじゃないですか!無視しないでくださいよ、ちょっと!」
律「お断りだ。」
「うぅ、なんでですか…!」
僕はしつこいその声の方をやっと振り向くと
キッと睨み付けてこう言い放った。
律「だってあなた、幽霊じゃないですか。」
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見毛 - すごい丁寧に書かれていてお話も面白い…とても面白いです…!律くんかっこいいなぁ…更新楽しみにしています (2019年4月2日 3時) (レス) id: fc0f2493d3 (このIDを非表示/違反報告)
ロイちゃん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!更新頑張ってくださいっ!! (2016年11月22日 6時) (レス) id: 0dbc3b26b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2016年10月23日 17時