le vampire

胸騒ぎ ページ8

「え、あ ううん」



我に返ったようなキョトンとした目でいつものように笑う




「なんでもない」



ただ、そう言って私の首筋に手を当てる




「神宮寺には気をつけて」




また階段を登って行く嶺亜の後を追う



「あ、噛み傷」




ふと、思い出してトイレへ駆け込む




「うそ 無くなってる」



何度も首筋を見る




イヴとアダム




なんか知ってる気がしてたまらない



考えながら歩いてると誰かとぶつかる




「あ、ごめん 大丈夫って」



先輩らしき人の手が止まる




「君…」



切ないような苦しいような顔



「あ、あの」



「あぁごめん 幼馴染に似てたもので 後輩？」




「はい、じゃあ先輩は先輩？」



笑うと出来るえくぼ




知ってる




だけど知らない




胸騒ぎがする夏の始まり

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