防御機制 ページ40
千空「…あー。こりゃ幼児退行だな」
クロムに呼ばれ駆けつけると状況は一目超然だ
少しAの様子を見て千空は言い切った
千空「目の前で親しい人が殺されたと思ってんだ。無理もねぇな」
クロム「そうか。Aー!!大丈夫だ!ゲンは無事だー!」
クロムが大きな声で叫べばAが悲鳴を上げ、頭を抱えながら涙を流した
千空「おい、バカ!んな事したらパニックになんだろーが」
コハク「さすがの私にも分かるぞ、クロム…」
千空はクロムの大声に片耳を塞ぎながら面倒くさそうに言い、コハクはやれやれと呆れ顔で首を振っている
クロム「じゃあどーすんだよ」
クロムの問いかけに千空は暫し熟考し、2人に少し離れているよう合図する
2人が十分に離れたのを確認し、千空はAの目線に合わせるよう地面に胡座をかいて座った
そして目を瞑り、何も持っていない事をアピールするように両手を頭と同じ高さまで上げた
それ以上動くことなくただ沈黙を守っていると、次第にAの嗚咽が小さくなり徐々に聞こえなくなる
それを待っていたかのように千空がゆっくりと目を開けると、Aが怯えながらもこちらを気にしているのが見えた
そのチャンスに千空は落ち着いた声でゆっくりと喋り出す
千空「大丈夫だ。落ち着け。何もしねぇ。……ゲンは生きてる」
たっぷり間を開けて聞かされた最後の言葉に、さっきまでイマイチ合っていなかったAの目の焦点が徐々に合ってくる
不安そうに歪められていたAの顔は、今は戸惑ったような表情に変わり、しっかりと千空を見つめていた
A「…本当に?」
千空「ああ。…大丈夫だな?」
A「…うん。…あの…ごめんなさい。恥ずかしい姿を晒したみたいで…」
千空も緊張していたのか、その瞬間フッと気が抜けたように笑った
千空「んなこと気にしてんじゃね〜よ。そんな事より労働力として働きやがれ」
A「…うん。ありがとう」
四つん這いで横穴から這い出たAに手を貸した千空は、立った時Aが一瞬顔をしかめたのに気がついた
千空「…あ?…ったく、どこ怪我しやがった?」
目ざとく気づいた千空がAの足元に膝をつき怪我を探す
A「…っいた!」
千空「捻挫してんじゃねーか…。良くこんな所まで来れたな」
足首の応急処置を手早く済ませた千空はクロムを呼ぶ
クロム「もう大丈夫なのか?」
千空「ああ。それよりこいつを1歩も歩かせんな。戻ってしっかり処置すんぞ!」
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くらら(プロフ) - 星さん» ありがとうございます。コメント嬉しいです (2021年5月1日 9時) (レス) id: 10bc412026 (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白いです!更新頑張って下さい! (2021年5月1日 7時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
くらら(プロフ) - 風音さん» ありがとうございます。なかなか旅に出ないし進みが悪くてすみません。更新頑張ります (2021年3月3日 13時) (レス) id: 10bc412026 (このIDを非表示/違反報告)
風音(プロフ) - 関係性といいストーリーといい好きです!評価,お気に入り登録しました!更新頑張ってくださいね!応援してます! (2021年3月3日 7時) (レス) id: 1d82dd420f (このIDを非表示/違反報告)
くらら(プロフ) - 緋刃さん» ありがとうございます。なかなか更新が進まなくてすみません。今後もよろしくお願いします (2021年2月12日 3時) (レス) id: 10bc412026 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらら | 作成日時:2020年9月24日 3時