六花の勇者【その花…徒花につき】 (ページ34)

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戦闘開始ページ34

ハンスが静かに神殿の屋根に駆け上がり
Aは近くの柱の影に身を隠した

...誰かいる
ハンスが気が付かなければ分からなかった
それぐらい上手く忍び寄ってきていた

A「多分アドレットね。...あの気配に気づくなんて...さすがハンス」

その時、アドレットを見つけたハンスがアドレットを仕留めようとナイフを投げた
殺気を感じだアドレットはそれを間一髪で避ける

A「...」

この霧で視界が制限される中、よくも正確に反応できるものだ
Aは二人の男の凄さに、逆に呆れてしまう

ハンス「よお、来ると思っただよ。アドレット」

アド「てめえか、ハンス」

ハンスは投げたナイフを回収し、鉈のような両手剣を取り出す

ハンス「卑劣技だけが武器だと思ってたべ、おめえ、思ったよりやる奴だにゃ」

アド「まいったな。会っちまったか。やるしかねえみてえだな」

ハンス「殺す気でかかってきたほうがいいだよ。でねえと、一瞬で決着がついちまうだべ」

アド「そっちから来いよ。胸を貸してやるぜ」

ハンスはアドレットのわかりやすい挑発に笑い声を上げ、一気に距離を詰め飛びかかっていく
アドレットはそれを狙っていたのか、迫ってくるハンスの顔に向けて煙幕弾を投げつける
だがハンスはアドレットの狙いを確実に読んでいた
直前で急ブレーキをかけ、投げられた煙幕弾を回し蹴りで横に弾き飛ばした

ハンス「にゃ。同じ手は、何度も通じないべ」

そう言いながら、ハンスは回し蹴りの勢いを利用しアドレットに斬りかかる
かろうじて剣を避けたアドレットにハンスは体をねじって更に迫る

A「うわっ...はぁ？今の一瞬でどれだけの読み合いがあったのよ。本当にあの二人信じられない」

Aがそう言っている間にも、ハンスの猛攻は続いていた
ハンスはバランスを崩しても全くものともせず、時には手から着地し、時には剣を足で操り、およそ人間とは思えない動きで追撃を繰り返す
アドレットも負けじと攻撃するが、アドレットの攻撃は人の意表を突くものだ
この場を支配しているハンスとは相性が悪い
それに見たところアドレットは、この場から逃げようとしているようだ

A「...まぁ...私の力は必要ないだろうけど」

Aは聖者の能力を使い、アドレットの退路を塞いでいく

アドレットがハンスの攻撃を凌ぎながら後ろに下がろうとすると、パキン！と氷の壁が現れ、アドレットはどんどん行動を制限される

アド「くそっ！Aもいるのか！？」