六花の勇者【その花…徒花につき】 (ページ4)

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薬の聖者ページ4

A「失礼します」

Aはトウロウ・メイナスに呼び出され、トウロウの部屋に来ていた
自分を地上最強と言う変人を捕まえ、牢に入れたのはもうひと月も前の話だ

あの人は何を考えているのか...

兵士たちに聞いた
アドレットと名乗った男は一輪の聖者に、自分を六花の勇者にする様願ったと
とても正気とは思えない...

あの人は消して弱くない
あそこまで人と渡り合うのは並じゃない努力が必要だっただろう

私があの日読み勝てたのは、あの人が私を聖者だと思っていたからだ
聖者だと思っていたから自分の様な戦い方はしないと、自分の行動が読まれることはないと油断した
次に戦えば...私が勝つのは難しいかもしれない

だけど...本当に六花の勇者になれると思っているの...？

トウロウ「何か考え込んでいますね」

トウロウに声をかけられ、Aはハッ！と正気に戻る

A「失礼しました。それで、今日はなんの御用でしょうか？」

トウロウ「...。いつもと同じです。ある男の始末を例の者に頼みました」

呼ばれた大体の予想は付いていたがため息が出てしまう

A「またですか？」

トウロウ「ええ。万天神殿に仇なすものと判断しました。これは私達にしか出来ないこと。モーラさんは優しすぎる、そしてまっすぐな人です。ですがそれだけでは万天神殿を守れない」

A「わかっています。だからこそモーラさんが長に相応しい」

トウロウは時々、万天神殿に仇なすものを見つけては始末を人に頼み、その準備と後始末をAに頼んでいた

A「今回頼まれたのは、ハンス・ハンプティと言う方ですか？」

トウロウ「そうです」

A「じゃあ準備は必要ないですね。それとも何か特別に用意しますか？」

最近はハンス・ハンプティという者に頼むことが多く、その人に頼む時はあまり準備を必要としない

トウロウ「いいえ。とくに準備は頼まれませんでした」

A「わかりました。トウロウ様、必ず薬は持たせてくださいね」

トウロウ「いつもハンスには必要ないと言われますが...。大丈夫です。貴方に言われてしっかり持たせてありますよ」

ハンス・ハンプティと面識はないが、これだけ同じ仕事を一緒にしていくうちに何となく仲間意識みたいなものが形成されてしまった
だからもしもの事があっても大丈夫なように、トウロウ様には必ず薬を持たせてもらえるようにお願いしている

A「後始末は任せてください」

これで話は済んだと、Aは薬の神殿を後にした