六花の勇者【その花…徒花につき】 (ページ29)

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捜索中ページ29

六花の勇者が6人以上いれば、全員が確実に偽物探しを始めるだろう
だから私は合流前に一人勇者を消して入れ替わりたかった
もう一人の偽物も入れ替わろうとして失敗したのだろうか...？

そうだとしたら...ここまで一人で旅をしてきたモーラさんやハンスさん、チャモが怪しいのかも

A「...あ、でもハンスさんとモーラさんは二人きりの時間があったのか」

じゃあチャモ...？
いや、チャモは当代最強の聖者だけど策を立てるのは苦手だし忍耐力もない
チャモが偽物なら確実に力での戦いになっていただろう

ならばわざと入れ替わらなかった...？
だとしたら偽物を探して疑心暗鬼になっている今の状況はもう一人の偽物にとって作戦通りの展開なのかもしれない

目的は仲間同士戦わせて数を減らすこと！

その作戦を成功させるためには霧の中に偽物と六花が閉じ込められているという状況を維持しなければならない

その状況を維持するためにも、偽物は絶対に疑われてはいけない
もし偽物とバレて死ねば霧が晴れ六花を閉じ込めておくことが出来なくなるからだ

偽物探しで真っ先に疑われるのは、フレミー、アドレット、ハンスの3人

そして身分がはっきりしていて疑われにくいのが、モーラ、チャモ、ナッシュタニア、ゴルドフ、私の5人

この作戦を成功させる前提条件は疑われないこと

だとしたら...
私を除いた4人の中に...偽物がいる！

そんなことを考えながら森を探索している内に、太陽は傾き、大分日が落ちてきていた

A「...どうするか」

今の推理が正しければ、今逃げているアドレットと人質のフレミーは本物ということになる

今ならアドレットを仕留めても疑われない
フレミーもアドレットが偽物だと思ってるから、二人でならアドレットを消すのは簡単だろう

その後、フレミーを消せば六花の勇者を二人も葬れる

皆には、私が来た時にはフレミーはアドレットにやられていたと言えば誤魔化せるだろう

A「...もうすこし奥まで行ってみるか」

Aが森の奥に足を踏み入れようとすると、背後からAを呼び止める声が響いた

モーラ「A！何をやっておる」

Aがビクっと体を揺らし背後を振り返ると、そこにはモーラとハンスの姿があった

A「も、モーラさん...」

モーラ「まさか、奥まで行こうと？」

辺りは暗くなっている、探索を続けようとしていた事がバレたら怒られる...

しかも今は一緒に行動しているはずのチャモがいない

A「これは...その..」