六花の勇者【その花…徒花につき】 (ページ11)

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旅立ちページ11

とにかく選ばれたからには行かなくては

六花の勇者が集まる魔哭領の入口に...

まだ暗いがすぐに夜明けだ
Aは身支度を済ませ、港町を立つことにした
魔哭領へ行く途中にちょうど薬の神殿がある
まずはトウロウ様の所へ行き薬の調達をお願いしよう

A「...ふぅ～。行きましょうか」

...
.....

トウロウ「よく来ましたね」

トウロウは突然訪ねてきたAを快く迎え入れた

A「突然で失礼します。申し訳ないのですが...」

そう言いかけたAをトウロウが止め、要件は分かっているとばかりに薬を2瓶差し出してきた

トウロウ「このタイミングでの訪問。選ばれたのですね」

A「...はい」

トウロウ「今すぐ渡せる薬が2瓶で申しわけないけれど、効果は保証します」

A「もとより効果については信用しています」

トウロウ「ありがとう。Aさん、六花の勇者に選ばれた貴女にお願いしたいことがあります」

A「実は私もトウロウ様にお願いしたいことが...」

トウロウ「わかりました。では私の話から。ハンスさんの事です...」

トウロウ様はハンス・ハンプティが六花の勇者に選ばれるようあらゆる手を打った
今回無事にハンスが六花の勇者に選ばれていたら、力を貸してあげてほしいというものだった

A「...ぇ.....。暗殺者...ですよね？」

実際会った事がなくてもハンスの仕事ぶりから、かなりの手練であることはわかっている
そのハンスに力を貸してあげてほしいという依頼にも驚いたが、何より暗殺者である男が六花の勇者に選ばれていたらという仮定に驚きと戸惑いを感じていた

トウロウ「ええ。ですがハンスさんの力が六花には絶対に必要です。そしてあの人は仕事が困難なら困難なだけ挑みたがります。何にも執着していないようで、自由に生きることに強い執着をみせる。だから私は事前にハンスさんへ依頼を出しました。絶対に六花の勇者を目指すな、戦ってはならないと」

A「それは...なかなかずるいですね」

自由に執着する人間へ依頼という名目で命令を出す
そうして命令で選択の自由を奪われれば、否が応でも逆らいたくなる

トウロウ「わかっています。ですがこうする必要があった。ハンスさんは必ず六花に選ばれています。だから頼みましたよ」

A「...。わかりました。では私の依頼ですが、これを受け取ってください」

Aがトウロウに渡したのは、ひと家族が1年暮らせるだけの大金だった

トウロウ「これは...」