検索窓
今日:5 hit、昨日:29 hit、合計:39,495 hit

血のハロウィン3 ページ9

その連絡が来たのは
ルナ・マナちゃんがおやつを食べて
大好きなキュアキュアのアニメを見ながら
眠ってしまった辺りだった

場地が亡くなった

隆からその報せを受けた瞬間
その場に崩れ落ちる

電話の向こうで隆が何かを言っているが
音が遠く感じてなんて言っているのか理解できない

まるで現実の実感がわかず
感覚が鈍く遠ざかっていく





次にハッと意識が戻ったのは
若干の息苦しさを感じた時

ボーとしていた意識が浮上し
縋るように眉根を顰めた隆の顔が目の前に映った

隆…?

名前を呼ぼうとして
自分の口が隆に塞がれていることに気がつく

キス…

ハッとして手に力を込めるが
頭をがっしりと引き寄せられていて
離れられそうにない

A「…ん…んぅ…」

やっと解放された時には
息が切れていて
必死に呼吸を整えようと深呼吸を繰り返す

A「…隆…?」

隆「やっと見たな…俺を。よかった」

安堵したような表情で今度は隆に優しく抱きしめられ
私は隆の肩に頭を預けポロポロと涙をこぼした

隆「辛い思いさせて悪い…。けど、俺と一緒に頑張れるか?」

A「うん…。うん…ごめん」

隆だって友達を亡くしたばかりなのに
こんな事を言わせてしまって不甲斐ない

皆に深い傷を残して事件は終わった

魂が抜けたようにボーとする千冬君と
小さく嗚咽する場地さんのお母さんを前に
何も出来ず意気消沈するしかない人々

それは私も同じで
何も出来ずただ淡々と場地さんの葬儀に参列するしかなかった

何も出来ないことはわかりつつも
何も出来なかった罪悪感から
嗚咽する場地さんのお母さんのそばを離れられない

黙って俯くしかない消沈した空気の中
それは突然起こった

葬儀が行われる寺の中庭に
黒を基調にしているとはいえ相応しくない私服姿で
ギター類と思わしきケースを背負った女性が
ツカツカと歩み寄り
沈痛の面持ちでAの頬を張った

バチン!という乾いた音は
お経と嗚咽がコダマする空間に良く響き
注目を集める

慌てる周りと同様に
騒ぎの当事者になってしまったAも状況が理解出来ず
引っぱたかれた頬を押えて放心してしまった

「あんたがけーすけが言ってた女?私…こんな事になるなら、っ…もっと素直に…。なんであんたな訳?なんで私じゃ...。私は関わらせてすら...」

質問しているようでしていないその女性は
混乱しているのか矢継ぎ早に喋っている
だけどその表情から傷ついているのは汲み取れた

A「あの、なんか勘違いを...」

血のハロウィン4→←血のハロウィン2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
282人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

くらら(プロフ) - 金成さん、りんごさん。お知らせありがとうございます。外したつもりになっていたようです。対応致しました。 (2023年2月28日 23時) (レス) id: 1c45d362d0 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 他の方も言ってますが、オリ‘フラ立ってますよ!ルール違反になるので、外したほうがいいですよ! (2023年2月28日 17時) (レス) id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ/らたってますよ (2023年2月26日 21時) (レス) id: dca7301a32 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くらら | 作成日時:2023年2月25日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。