#17 ページ17
玄関まで向かうべくリビングの前を通ろうとした所で、コンビニのビニール袋と車の鍵を持った兄者さんが待っていた。
弟「そういえば、昨日Aさんが買ってたのあるでしょ?中身は崩れてなかったし、期限も平気そうだったから、勝手にコッチの冷蔵庫に入れちゃってたんだよね。」
兄者さんの代わりに弟者さんがそう説明してくれれば、この家で目覚めてからは何から何までお世話になってしまっている事にペコペコと仕事先かのように頭を下げざるを得ない。
兄「コイツと出くわすくらいだから案外近いのかもしれねぇが、送ってく。暑いしな。」
本当に、外へ耳をすましてみると蝉が煩い程に鳴いている季節だ。きっと断ったらまた言いくるめられる気がしたので素直に甘える事にした。
ビニール袋を受け取れば、玄関へ向かいもう一度弟者さんの方へ頭を下げれば、彼は小さく手を振って見送ってくれた。
駐車されている車の元へ、兄者さんの後ろに張り付くようについて行く。
車の鍵に反応しチカリとライトを光らせたその車は、SNSで呟かれる内容をより現実味を帯びさせる要因として十分に働いた。
それは傷ひとつ無く、綺麗なツヤを魅せていた。
兄者さんが運転席へ乗り込めば、私も続いて 失礼します、と小さな声で呟き助手席へ乗り込む。
気持ちのいいエンジン音を鳴らして、外へと出た。
兄「さて、どこに向かうと良いんだ?」
「あっそうか…えーと、此処なんですけど。」
当たり前のように家の近く迄すらすらと行く気分で居てしまった私自身にハッとしながら、兄者さんから渡された、マップのアプリが起動されたスマホを操作すれば、自宅箇所にピンを指す。
兄「了解。」
「本当に、ご迷惑おかけしてすみません。」
兄「迷惑かけたのはこっちだろ。」
何を言ってるんだと少し笑いながら返されてしまえば、私も否定は出来ない事に笑ってしまう。
「あ、ここ…もう知ってる道だ…。」
兄者さんが車を走らせてほんの数分、私が通勤で通る道へ出た。そして我が家もすぐそこだ。
ひょっとして2BRO.のご兄弟はかなり近いところに住んでいたのか。
これならば尚更わざわざ送ってもらうという行為に申し訳ない気持ちを抱かずには居られないが、謝るのはいたちごっこが始まってしまう為もう控える事にした。
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はるの(プロフ) - 小説お気に入り150ありがとうございます。まさかこんなにお気に入り登録して頂けるとは思ってもいませんでした…!今後も数ヶ月に一話増えるか増えないかのような亀ペースでは御座いますが、御付き合い頂けると幸いです。 (2020年2月28日 1時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - また、今まで小説のページの一枠に私の個人的書き込みを加えるのに何となく抵抗がありましたが、今後の展開がはっきり定まっていない所を、出来れば皆さんに助力を頂きたい為、もしかすると小説の頁の一つに私自身からのお知らせという形で更新する時があると思います。 (2020年2月28日 0時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - あさりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!只今リアルがやや多忙な為、かなり間が空いていますし、多分また空くと思われますが、宜しければご覧になって頂けると幸いです。 (2019年12月17日 23時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
あさり - ほんとにあの方々とおしりあったら、??というリアルな心境が描かれていて、のめり込むように一気読みしてしまいました!すんんごい面白かったです!続きが読める時をいつまでも待ちます!! (2019年8月13日 23時) (レス) id: 500eb03ae7 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - そっと感想を、さん» ふわぁぁあ、嬉しいお言葉をありがとうございます…! (2019年7月29日 1時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるの | 作成日時:2019年6月30日 21時