#11 ページ11
｢ご馳走様でした。あの、ホントに美味しかったです。｣
未だ弟者さんだけが食事を終えない、というよりも恐らく気もそぞろで口に入りそうにない中、私は礼を述べる。
兄｢このままだとうちの愚弟が鈍いままだから、確かめに行っちゃってくれ。｣
今や兄者さんも固い口調は崩れ、そう指示される。私が頷きを返して立ち上がると、おついちさんはこっちだ、と場所を示してくれた。
洗面所まで行き、己と向き合った時最初に思ったのは、化粧をしていなかったんだったという些細な事で。自分が好き好んで見ている人達を目の前にして、少しのおめかしも無く、服もラフ過ぎている。さっきまでこんな姿で対面し続けてしまっていたのか、と僅かながらショックを受けながらも、次は顔を洗う前にあの三人が謝っている訳となる部分を探す。
一見して変わりは無いように思えた。顔をまじまじと見つめる。しかし異変は無いはずだ。
｢うーん…。｣
唸り声を上げながら腕を組み、上を仰いだ時、寝違えたと思っていた首の痛みを思い出した。
私は上を向いたまま目だけを鏡へ流した。
そこにはくっきりと、何かの動物等では無い人間の歯型が付いているのを確認した。
｢な、……何これ！？｣
思わず叫んでしまう。叫ばずにはいられない。
それと共に、急速で昨夜何が起きたのかを理解していく。
あの時、苦しそうにしていた弟者さんを見つけた時。
助けなければと、救急車を呼ぶのを試みた時。
弟者さんが私にもたれかかった時。
首元に激痛が走った時。
噛み付かれていたのだ。
私は叫ぶ事を止め、息を飲む。
それだけでは治まりそうにない為、手に水を汲み、顔に荒く水をかけた。
水が流れ落ちていく排水栓の奥を見つめるようにもたれた首を改めて上げる。
しかしまた痕を見てしまったらば叫び声を上げるの繰り返しになる気がして、私は急いで洗面所を後にした。
リビングへ戻る手前で立ち止まる。
｢何で…？？｣
謝られたのは理解出来た。急に噛み付いてたとは思いもしなかった。
けれど、なぜあの時、噛み付くという行為に至ったのかは理解出来なかった。
新しくもやもやと疑問が浮かび上がってくる中、一度戻らなければこの事も先に進まないと思い至り、リビングへの扉を開けた。
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はるの(プロフ) - 小説お気に入り150ありがとうございます。まさかこんなにお気に入り登録して頂けるとは思ってもいませんでした…！今後も数ヶ月に一話増えるか増えないかのような亀ペースでは御座いますが、御付き合い頂けると幸いです。 (2020年2月28日 1時) (
レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - また、今まで小説のページの一枠に私の個人的書き込みを加えるのに何となく抵抗がありましたが、今後の展開がはっきり定まっていない所を、出来れば皆さんに助力を頂きたい為、もしかすると小説の頁の一つに私自身からのお知らせという形で更新する時があると思います。 (2020年2月28日 0時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - あさりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！只今リアルがやや多忙な為、かなり間が空いていますし、多分また空くと思われますが、宜しければご覧になって頂けると幸いです。 (2019年12月17日 23時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
あさり - ほんとにあの方々とおしりあったら、？？というリアルな心境が描かれていて、のめり込むように一気読みしてしまいました！すんんごい面白かったです！続きが読める時をいつまでも待ちます！！ (2019年8月13日 23時) (レス) id: 500eb03ae7 (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - そっと感想を、さん» ふわぁぁあ、嬉しいお言葉をありがとうございます…！ (2019年7月29日 1時) (レス) id: 65fc1d4448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるの | 作成日時：2019年6月30日 21時
