111.約束 ページ11
リアとデビューをして二度目の秋が来た。
「1、2、3、4、5、6、7……ストップ。今の所もう少し合わせれると思うから、もう一回やろう」
「ここはさっきも重点的にやったでしょ。もう少し全体のレベル上げてから細かい修正入れたほうがいいんじゃない」
「でも、サビに繋がる部分だから、ここはしっかり決めないと盛り上がりに影響すると思う」
「わかった。じゃあ、もう一回合わせてみよう」
デビューをしてから1年が過ぎた。
お互いの仕事は増えてきたものの、私達はまだ音楽番組で1位を取ったことがなかった。
今回のカムバックでは絶対に1位をとりたいと私とリアはスケジュールの合間を縫っては事務所に戻り曲合わせを何度もおこなった。
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カムバックから翌週。
週の最初の音楽番組だ。
朝からマネージャーの連絡が入り、現在一位候補になっていると教えてもらった。
しかし、今までも一位候補に上がったことは何度かあり、惜しくも取れないという事があったので緊張は拭えなかった。
リアはというとマネージャーの知らせに純粋に喜んでいるようだった。
今日は絶対に失敗しないようにしなきゃ。
何より前回の一位はオッパの力を借りてとった一位だから。
そうじゃなくて私達で一位をとりたいんだ。
その為には私がリアの足を引っ張らないようにしなきゃ───
緊張で自然と手先が冷たくなる。
私は温めるように手のひらをさすった。
その手をリアが包むように握る。
感覚のなかった手にじわじわとリアの体温が広がっていった。
「なんだかデビューした頃を思い出すね」
「リア」
「A、自分がヘチャンさんと一位取ったからを責任感じてるでしょ？」
私は言葉に詰まってリアを見た。図星を突かれて何を言えばいいか分からなかったから。
「ここまでやってきて、こんな事言ったら怒られるかもしれないけど、私は一位じゃなくてもいいよ」
「え？」
「私はAとヘチャンさんのステージを見て、一位を取ったことよりも楽しくステージで歌うAを見て、一緒に歌えない事が悔しかったの。だから、Aとファンと楽しく曲が歌えたらなって思うんだ。
それに、私は一位を取らなくても、この先もずっとAと歌えるって事が大事。
だから約束して」
「……当然だよ。リアこそ私から逃げようとしないでね」
"スタンバイ、お願いします"
イヤモニから聞こえる指示に私達は視線を合わせて、ステージへ向かった。
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アットゥゴな鯛焼き(プロフ) - 卯年さん» コメントありがとうございます！ファンなんて恐れ多いです！これからもヘチャンと主人公のシスコンブラコンぶりを書いていこうと思うので時間がある時に見にきてくださると嬉しいです(^^) (8月16日 1時) (
レス) id: cde0f29250 (このIDを非表示/違反報告)
卯年(プロフ) - こんにちは、いつも楽しく読ませていただいています。大ファンです！ ヘチャンと主人公とのラブラブぶり？に微笑ましくなりつつ、キュンキュンしつつ、主人公の成長を見守ってます。これからも応援しています。 (7月27日 17時) (レス) id: a62967e81b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷもんぱん | 作成日時：2023年6月19日 1時
