空から絵描きが降ってきた【th】 (ページ28)

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気ままな主は一体どこに行ったのだろうか。

著名人なのに(おそらく)マスクもサングラスもしないで出ていったことにも困惑しているし、静寂に染まったこのリビングにも困惑しているし、横にいる彼も…

『あ〜Aさんですか？』

「あ…네(はい)…」

『おーかんこくご、わかりますか？』

「あっ、えっと、No…？」

あまりの辿々しさふふっと笑うジミンさん。かわいいな。

彼の笑顔に思わず私も笑ってしまう。なんだか一度笑うと今の状況がますますよく分からなくなって、ソファに転げながら二人で大笑いしてしまった。

『あーーおなかいたい！』

「つかれた……」

笑いあったことで少し人見知りがとけた気がする。もしかしてそこまでテヒョンさんは図ってたのかな…？

ますます彼がよくわからない。

『……Aさんはぼくたちのことが、しらないですか？』

ひとしきり笑いあったあとこっちを見てジミンさんが溢した。

真っ直ぐで心の内を探るような、けれど優しい眼差し。

「はい、ほんとにわからないんです…죄송합니다(すみません)」

『あ〜オケイオケイ。だいじょうぶですよ〜』

目を細くして笑うジミンさん。

私も思わず微笑む。

…笑いすぎて喉乾いちゃった。

なにか飲みましょうかと言って立ち上がるとぼくソーダくださいーとリクエストが。

折角だから私もそれにしよう。

冷蔵庫を(勝手に)開けると冷えた炭酸ジュースらしきものが入っていた。

『このまえ、ぼくがかったものです』

…人の家で冷やすんだ。

思わずくすっと笑ってしまったから、ジミンさんからも笑い声が返ってくる。

テヒョンさんとほんと仲がいいんだなと改めて思う。素敵。

おしゃれなグラスに氷を入れてソーダを注ぐ。

氷が動く度になる音に涼を感じる。

2人分のグラスを持ってソファに座る彼のほうを向いた。

大きく空いた窓、差し込む月明かり。

横を向いた彼の顔を照らす。

うわ…艶っぽ。

私に気づいてこっちを向いてありがと〜と笑っている。

………え。この顔どこかで……。

　なんかいっぱい入ってた……カード…？

　うわあああジミンちゃん！羨ましい！推しです笑

思い出した。

思わず手の力が抜けてグラスを落としそうになった。

こんな美形、そうそういるはずないし。何で気がつかなかったんだろう。

もしかしなくても彼って…

「防弾少年団…………??」

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