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なんで今まで気が付かなかったんだろう。
碧ちゃんにおすすめされて買ったアルバム、それに入ってたトレカなるもの
儚い金髪をセンター分けにして、にこっと微笑んでいたあの表情
私に今向けられているものと瓜二つだった。いや本人だから瓜も何もないんだけども
トレカは見てすぐに財布に入れてそのままだったから、顔をあんまり記憶してなかったんだ。
2人にことの経緯を説明して今に至るというわけだが…
ジミンさんは防弾少年団って響き懐かしいね、また日本行きたいですって言ってた。
最近はBTSって呼ばれることが多いよーと、テヒョンさんが。
なるほど。呼び方もグローバル化してるってわけだ(？)
『ぼくがおしですか？』
にっこり笑ってジミンさんが問うてくる。
「あ…ジミンさん以外わかってなくって…」
『あーそうなんですねぇ〜なにかすきなきょくとかないですかー？』
さっきまでだんまりだったテヒョンさんが身を乗り出して聞いてきた。
「好きな曲ですか……あ！あります！バラードっぽくて…」
『おーなんですか？？』
二人の視線を感じながら、顎に手をやってうんうん唸る。
あの夜取り憑かれたように絵を描いた夜に、聞いてた曲。
顔を上げて夜の空に目をやる。
遠くの空に確かに輝いている満月を見て、忘れていた曲名が、漠然と浮かんでくる。
確か"V"って人の歌で……
「あっ…Singularity…」
曲名を口にした瞬間、ゆっくりとテヒョンさんの目が見開かれていった。
数秒私を見つめた後、徐々にその目は細く形を変え、穏やかな笑顔に変わった。
ころころと変わる表情を顔がいいなと思いながら見つめる。
横にいるジミンさんは私と彼を交互ににやにやと眺めながら、残りのソーダを飲み干した。
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作者名：ゆた | 作成日時：2022年10月2日 18時
