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マリ 泣かないで…A。
彼が六歳、わたしが七歳。
あの頃からずっと、すれ違ってばかりね、私たち。
ジャ マリー…！
マリ ゲオルギウスさま、それでよろしくて？
ゲ …貴女が、それでいいのならば。
私はこの役割を伏してお譲りいたしましょう。
貴 …マリー…。
マリ じゃあ行って、ジャンヌ、A。
ほんの少しだけど、
貴女の旗の下で戦えて、光栄の至りだったわ。
ジャ うん。
…待ってますから。
マリ ええ、すぐに追いつくわ。
貴 待ってるから！
帰ってこないと許さないからね！
マリ ええ、ちゃんと戻るわ。
A…貴女の優しさはこの世界を救える…。
サンソン、来たのね。
サ 来たとも。処刑には資格がある。
する側にも、される側にもだ。
僕以外に君を処刑する資格を持つ者はいない。
それは君も実感しているはずだ、マリー。
マリ …えーと…ちょっと待ってね、サンソン。
あなたが素晴らしい処刑人である事は知っているわ。
だって残忍で冷酷で非人間だけど、
あなたは決して罪人を蔑まなかった。
深い敬意をもってギロチンの番をしていたあなたを、
わたしは確かに信頼しています。
でも、だからってあなただけがわたしを殺す資格を持つの？
それっておかしくないかしら？
サ おかしくないとも。
僕は処刑人の家に生まれ、処刑の事だけを教え込まれた。
そこに妥協はない。心がけの話だけじゃない。
なにより殺し方…処刑の技量に拘った。
良い処刑人が、罪人に苦しみを与えないのは当然だ。
僕はその先を目指した。
つまり…快楽だ。
その瞬間、まさに死ぬほど気持ちいい。
僕はそんな斬首を心掛けたつもりだ。
そして生涯最高の一振りが、君に向けた斬首だった。
マリ …。
サ だからこれは運命だ。
僕はどうしても、もう一度君に会って尋ねたかった。
どうか聞かせてくれマリー。
僕の断頭はどうだった？
君、最期に絶頂を迎えてくれたかい？
マリ …あなたが本気で、心からわたしに
敬意を表してくれているのはわかるわ、サンソン。
でもごめんなさい、ちょっと、それはムリ。
とても口には出来ないことだし…。
わたし、倒錯趣味の殿方はもう間に合っているの。
申し訳ないけど、二度目の口づけは受けられないわ。
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作者名：o｡Reona｡o | 作成日時：2017年3月28日 1時
